第二十七話 戦いのはじまりその三
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「そうしていきます」
「ですか」
「はい、では即位の式にもですね」
「出られて下さい」
また司教が言ってきた。
「是非」
「そうさせて頂きます」
「王の葬儀の翌日にです」
早速、というのだ。
「即位の儀となります」
「続けてですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「玉座は空けてはならないものであるが為に」
「だからこそ」
「葬儀の後に、慣例通り」
この国だけでなく他の国々でも同じだ玉座は常に誰かが座っていなくてはならないのだ。例え座る者が痴愚であろうとも。
「そうなります」
「ですか」
「そしてその場で」
「私と彼女がですね」
「この国の摂政となられます」
つまり実質的に国を動かす者になるというのだ。
「その時を楽しみにしておいて下さい」
「わかりました」
「王ではないですが」
またオズワルド公がマイラに言った。
「しかし摂政です」
「その持っているものはですね」
「非常に大きいです」
何しろ王の代理だ、王族でも限られた者が限られた時にしかなることが出来ない。マイラがそれになるというのだ。
「ですから」
「このことを受け入れて」
「はい」
そしてというのだ。
「宜しくお願いします」
「わかっています」
マイラはオズワルド公に素直に答えた。
「それでは」
「その様に」
「そして、ですね」
「はい、旧教の復権に挑みましょう」
「論戦に勝ち」
「お子をもうけられ」
太子との間にだ。
「そうしていきましょう」
「そうですね、ですが」
ここでだ、マイラは。
暗い顔になってだ、こうも言ったのだった。
「私と太子の子は」
「はい、ロートリンゲン家の血を引かれます」
「そうなられます」
二人もわかっていることだった、このことは。
「そのうえでこの国の王となられます」
「その様に」
「そしてです」
「王女様は国母となられます」
「地位のことはいいのです」
それは見せなかった、実際にマイラにそれへの欲はなかった。こうした意味では妹であるマリーと同じである。
「それよりもです」
「この国のあり方ですか」
「こちらのことですか」
「そうです、この国が旧教に戻ること」
マイラは一途な目になり語った。
「このことが大事なので」
「だからですか」
「それ故にですか」
「国母のお立場も求めていないのですか」
「それも」
「摂政の地位もです」
これから就くその地位もというのだ、まさに王に等しいその立場も。
「あくまで」
「旧教に復する為のもの」
「この国を」
「そうです、私は権力は求めていません」
やはりこう言うのだった。
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