暁 〜小説投稿サイト〜
Three Roses
第二十七話 戦いのはじまりその一

[8]前話 [2]次話
                 第二十七話  戦いのはじまり
 王が崩御しすぐに国葬が行われることになった、その用意は宮廷においてすぐにはじめられた。その時にだ。
 司教は宮廷の者達にだ、穏やかだが深刻な顔で述べた。
「王妃様はです」
「はい、落ち着いてもらう」
「そうして頂きますか」
「悲しみに沈んでおられますが」
「今は」
「はい」
 そうだとだ、司教は彼等に述べた。
「そうされて下さい、苦しいお気持ちはわかりますが」
「悲しみに沈まれたままですと」
「王妃様もですね」
「お心からお身体を悪くされる」
「だからですね」
「病は心からもなります」
 そうだからだというのだ。
「ですから」
「ではどうされますか」
 宮廷の官吏の一人が司教に尋ねた。
「王妃様には」
「お酒を」
 司教は官吏に答えた。
「葡萄酒を。牛乳と共に」
「牛乳で割った葡萄酒ですか」
「それを王妃様に」
「牛乳と葡萄酒ですか」
「どちらも心を安らげます」
 そうしたものだからだというのだ。
「ですから」
「その二つを共にですか」
「王妃様に」
「そしてですか」
「飲んで頂くのです、悲しみのあまり食事も出来ないとか」
 このこともだ、司教は聞いて知っていた。
「それならばです」
「飲みものですか」
「食べるものは無理でも飲むものは違います」 
 そちらは、というのだ。
「喉の渇きは空腹よりも癒し難いものですから」
「確かに。水を飲まねばです」
「水で空腹を癒すことも出来ますが」
「喉の渇きはそうはいきませぬ」
「水がなければ」
「どうしてもで」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「葡萄酒を牛乳を」
「王妃様に」
「お出しするのですね」
「滋養にもなります」
 このことについてもだ、司教は言及した。
「葡萄酒も牛乳も」
「どちらもですね」
「そうです、ですから」
「休息と滋養の為にも」
「その二つを」
 こう言ってだ、司教は王妃に葡萄酒を牛乳で割ったものを差し入れさせた。そうしたこともしつつ王の葬儀の用意をし。
 新王の即位の儀も進めていた、その中で彼はマイラのところで状況を話した。
「全てはこの様にです」
「順調ですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「ご安心下さい」
「それでは」
「新王の即位の際には」
 司教はマイラにさらに話した、隣にはいつも通りオズワルド公もいる。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ