78部分:第九話 知っていた罠その四
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第九話 知っていた罠その四
「この青い燐は」
「カナン様、何か」
「いかん」
カナンはすぐに眉を顰めさせた。そのうえで九人に声をかけるのだった。
「御前達、今は下手に動くな」
「動くな!?何故」
「この青い燐こそがキャンサーの技だ」
「へっ、気付いたみたいだな」
デスマスクはカナンの声に従い九人が動きを止めたのを見て余裕の笑みで笑ってみせてきた。
「そうさ、この技はあれなんだよ」
「あれだと?」
「冥界の炎よ。貴様等を送り返す案内の火だ」
「どういうことだ、一体」
「知りたければ動きな」
平然とした態度でまた言ってきた。
「そうしたらわかるぜ」
「馬鹿な、罠なのを知っていて」
「我等が動くとでも」
狂闘士達は動かなかった。カナンの言葉に従い今は様子を見るだけなのだった。
だがデスマスクはそれでも。また新しい技を出そうとしていた。
「じゃあ今度はこれだな」
「その技はわかる」
カナンはデスマスクが人差し指を立てた右手をゆっくりと上に掲げるのを見て述べた。
「積尸気冥界波だな」
「わかるか。まあわかっていてもよけられるものじゃないぜ」
「さて。それはどうか」
しかしカナンはここでデスマスクに対して言ってきたのだった。
「そう上手くいけばいいがな」
「へえ、じゃあそっちに秘策があるんだな」
「一つ言っておく」
カナンの言葉が鋭くなった。
「このベルゼブブのカナン、アーレス様の下では死を司っている」
「死をかよ」
「そうだ。蝿は死の使者」
言うまでもなくベルゼブブの姿のことを言っているのだ。ベルゼブブは巨大な蝿の姿をした魔神であるからだ。カナンの戦衣の姿もそうなっている。
「これだけ言えばわかるな」
「じゃああれか」
デスマスクはカナンの今の言葉を聞いてあることを悟った。
「俺の積尸気冥界波を受けても平気ってわけだな」
「少なくとも自力でこちら側の世界には帰って来ることができる」
穏やかだが絶対の自信を含んだ言葉だった。
「それは言っておこう」
「じゃあこの技は貴様には通用しないってことだな」
「そう考えるのが普通だな」
「まあ今はそういうことにしておくぜ」
デスマスクはここでは結局技を収めるのだった。右手を下ろす。
「まあ真っ当に九人相手してやるか。来な」
「言われずとも・・・・・・!」
「その減らず口ここで」
彼等はジリ、と前に出た。その時に。
「待て、デスマスク」
「おっ!?」
デスマスクはその声がした方に顔を向けてみせた。
「ちぇっ、いい時に出てきやがるぜ」
「御前一人では流石に負担が大きい」
「大きくても充分にやれますよ」
何故かデスマスクの言葉遣いが急に丁寧になった。
「あんたの力をお借りしなくてもね」
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