778部分:第百十九話 神に近い男その五
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第百十九話 神に近い男その五
「しかしあえてそれを使わないことによってです」
「小宇宙を溜めていました」
「そうなのですか」
「そうです、ですから私は閉じていました。そして」
「そしてか」
「小宇宙を高めていました。おそらく感覚が恒常的になければ問題はなかったでしょう」
ケーレスに対しての言葉である。
「小宇宙をかえって高めることにもなりました」
「しかし今はか」
「貴方は一時的に奪われていました」
「その分の小宇宙を奪われていたのか」
「その分、攻撃にも防御にも出ていたのです」
シャカの言葉は続く。そこまでもだ。
「それで私は貴方の攻撃を受けても倒れず」
「私は倒れたのか」
「その差が出てのことです」
シャカはまた彼に話した。
「それでなのです」
「考えたな。簡単な引き算か」
「ですがそれは確実に出ます」
「そうだな。それで私は敗れた」
また言う彼だった。
「見事だ。私に頭脳で勝ったのだな」
「そういうことになります」
「では行くがいい」
膝を屈したまま言うケーレスだった。
「先に行け。アーレス様の御前にだ」
「では。そうさせてもらいます」
シャカもその言葉を受けて言うのだった。
「そしてアーレスを」
「また会おう」
確かに膝はついている。だがそれでも言葉は出す。敗れはしたがそれでもである。彼は心は倒れてはいなかった。立ったままである。
「次の戦いの時にだ」
「次の聖戦ですか」
「その時は必ず来る」
確信だった。まさにそれだった。
「必ずだ。その時こそだ」
「勝たれるというのですね」
「そうだ、私は勝つ」
シャカに対しての言葉だった。
「何があろうともだ」
「その言葉受けました」
シャカもだ。その言葉を正面から受けてだ。こう言うのである。
「では。その時にまた」
「また会おう」
シャカは前に向かう。既にケーレスに背を向けている。だがケーレスは微動だにしない。それが動けないのか動かないのかはわからない。しかし動きがないのは確かである。
その動きがない状況でだ。彼はまた言うのであった。
「バルゴ、アーレス様は強いぞ」
「わかっています」
立ち止まらずに応えるシャカだった。振り向きもしない。
「しかしです」
「しかしか」
「相手が強大なのは理由にはなりません」
「理由にはか」
「はい、なりません」
そうだというのだ。
「それは理由にはなりません」
「そうか、ならないのか」
「そうです、なりません」
また言うシャカだった。
「それは申し上げておきます」
「相手がどれだけ強大であろうと向かうか」
「そして勝利を収めます」
また言うシャカだった。
「何があろうともです」
「その言葉受けた」
確か
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