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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十九話 揺れる同盟
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いわば国家的な行事になってしまったのだ。参列者も当然豪華絢爛と言って良い顔ぶれになった。軍、政府の高官、皇族、貴族……。貴族達の中には辺境星域の貴族も含まれている。
“帝国は内乱があったが今は一つに団結しているという事を内外に示さねばならん。辺境星域の貴族達も呼ばれれば喜ぶであろうし、卿が如何に陛下の信任を得ているかという証拠を自らの目で確かめる事になる。改革がおざなりになる事は無いと安心するじゃろう”
リヒテンラーデ侯の言葉に司令長官は反論できなかった。唯一反論らしい反論といえば経費の事だったけれどそれも無慈悲に粉砕された。“経費は一帝国マルクもかからん、フェザーンの放送会社から放映料を取る事で解決した、余った金は辺境星域の開発資金に回す。問題はあるまい”
結婚式は三月十五日に行なわれる。あと一月も先の事だがこの不機嫌がずっと続くような事が無い事を願うのみだ。オーディン到着後、リューネブルク大将が司令長官を冷やかしたが司令長官はジロリと視線を向けただけで黙殺した。
流石に拙いと思ったのだろう、大将は早々に退散し、それ以後司令長官を冷やかすような愚か者は居ない。艦隊司令官達も神妙な表情で決裁文書を持ってくる。もっとも陰では皆笑っている。結婚式を楽しみにしているのだ。そして司令長官も皆が笑っているのを知っているから余計に不機嫌になる。でもそろそろ……。
「閣下、そろそろ機嫌を直されては如何ですか。そのように不機嫌にされては周りに与える影響も良く有りません」
「……」
駄目だわ……、ジロリと睨んできたし口元はへの字になっている。
「自宅でもそのように不機嫌な顔をされているのですか?」
「……そんな事が出来ると思いますか?」
「いえ……」
あちゃー、怒らしちゃったか。まあ家じゃ出来ないとは私も思う、奥さんとミュッケンベルガー元帥の前でこんな仏頂面なんてできるわけ無い。拙い、何とかしようと思って話しかけたのだけど地雷原の周りで飛び跳ねているような感じがする。誰か助けてくれないかと思うのだけどリッチェル中将、グスマン少将も知らぬ振りだ。
「大佐に分かりますか? 全宇宙に私の結婚式が放送されるのですよ、いい晒し者です。何でこうなったのか……」
溜息混じりの司令長官に対して“それは閣下がリヒテンラーデ侯に式の段取りを任せたからです”、とはとても言えない。そんな事言ったら司令長官の目からトール・ハンマーが飛び出すに違いない。
「お目出度い事なのです、盛大に皆で喜びを分かち合おうと言うのはおかしなことでは有りません。捕虜交換で帰ってきた兵士も司令長官が捕虜交換に尽力したことを知っています。式に列席は出来なくても式を見て祝福したいとは思っているでしょう。平民達もです」
少しは機嫌を直してくれるかと思ったけど無
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