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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第17話 世界の危機
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アステリは言葉を続ける。

「色が存在しなければこの世の全てから感情と言う概念が無くなってしまう。感情は心の一部。この世界から『色』と言う一つの概念が消えると、それに伴った感情や心、生や死と言う世界を成り立たせる為に必要な存在までもが芋づる式に消えてしまうんだ」
「え……っ」

 『色が消える=心(感情)が消える』……?

――そんな事が現実で起こってしまったら……
――サッカーをやって楽しかったり、勝負に負けて悔しかったりとか……
――そう言う事も無くなってしまうんじゃ……っ

 天馬にとって、最も大切な『仲間とのキズナ』。
 それも元を辿れば、その様な感情を抱く『心』から来ている。
 もし、世界中から色が……心が消えれば……
 そんな『友情』や『キズナ』までもが一瞬の内に消えてしまうだろう。

 自分の頭で導きだした最悪な結末に、天馬の視界が薄暗くなる。
 ハッと我に返ると、頭を横に振り、気を持ちなおそうとする。
――駄目だ……こんな悪い方にばかり考えちゃ……

 そう、辛そうな難しい顔をする天馬を見て「大丈夫?」と尋ねたアステリに「平気だよ」と言うと、天馬は彼の話へと意識を戻した。

「じゃあ、続けるね。さっき言った四つの『色、心、生、死』が無くなった街、人、動物……挙句の果てには世界までもが本来果たすべき機能を果たさなくなる」
「四つの概念は機械を動かす為の大切な部品……それが消えれば、当然『世界』と言う機械は動かなくなっちゃうもんね」
「あぁ。そうして世界を廃化させ、自らが理想とする新たな世界を創る為の材料にする……それがクロトの狙いだよ」

 その言葉を聞いて、「そんな勝手な理由でっ」と天馬は感情を露わにした大きな声を発する。
 それと同時にハッとした表情で慌てて口を両手で抑え、黙り込んだ。
 現在の時刻は早朝の四時近く。
 管理人の秋はもちろん、木枯らし荘に住んでいる他の人達もまだ眠っている時間だ。
 周りの人を起こさない様に、静かにしていなければいけない。
 もちろん、大声など絶対にダメだ。

 「ふぅ」と息を吐いて心を落ち着かせると、改めてアステリの方を向いて口を開いた。

「そんな勝手な理由で無関係な人達の心を……世界を壊して良い訳ないよ……!!」
「うん。そんなの、絶対にやめさせなくちゃね」

 天馬の言葉に続いて隣に座っていたフェイもそう言葉を発する。
 自分達にとって、大切な感情が……心が消えた世界なんて絶対にあってはならないのだ。

「クロトのせいで廃化になった世界は、すでに十箇所にも及ぶ。そして次のターゲットは……キミ達が住む、この【色彩の世界】だ」
「!!」

――次のターゲットが、俺達が今いる……この世界……?!

 アステリの言葉に
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