第一章 ハジマリ
第17話 世界の危機
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れても、いかんせん信じられる訳がなかった。
アステリの事を疑っている訳では無いし、頭では理解しているつもりだ。
でも理解は出来ても納得が出来ないのが人間。
どうしても、いまいち現実味がないのだ。
「クロトはその力を使って自らが望む『理想郷』の為、あらゆる世界線から『色』を奪い続けている……。『色』を奪われた世界は一つの『街』へと変換され、彼が暮らすモノクロ世界の一部になってしまうんだ」
そこまで聞いて、天馬は気になっていた質問をアステリにぶつけた。
「あのさ……その、クロトって言う人はどうして世界から色を奪っているの?」
色と言うモノは自分達にとってごく当たり前にソコにあって、特別害を与えるモノでも無い。
それなのに、話を聞いている限り、クロトと言う男は『色』と言う存在自体を極端に嫌っている様に聞こえる。
それは何故なのか……アステリは『理想郷』がどうのこうのと言っていたが……
そのクロトが望む『理想郷』と『色』には何の関係があるのだろうか?
天馬……そしてフェイも、それが気になっていた。
「あのね。この世に存在するモノにとって、『色』はとても大切なんだ」
「どう言う事……?」
アステリはそう言葉を並べると、傍にあった紙に何かを描き始めた。
何を書いているのだろうか……天馬とフェイはそれを覗きこむ様に見つめる。
「これを見て」とアステリは何かを書き終わった紙を二人に見せた。
そこには黒で『色、心、生、死』の文字が、まるで相関図の様に書いてあった。
「何? これ」
「これはね、この世の全てを支える大切な存在達。キミ達は知らないだろうけど、世界はこの『色、心、生、死』の四つの概念で成り立っているんだ」
そう言うとアステリは、紙に書かれた四つの文字を丸で囲う様な素振りをしながら話し続ける。
「『生』と『死』、『色』と『心』……これらは全て共存関係にあるんだ」
アステリはキュッとマーカーのフタを取ると『生』と『死』、『色』と『心』の間に、それぞれ矢印を書いた。
矢印は両者を差す様な形で、二つの言葉の間に書かれている。
これで何となく、『生』と『死』、『色』と『心』が共存関係だと言うのが図を見て分かる様になった。
次にアステリは、そんな四つの言葉を今度は大きな丸で一纏めにして見せた。
「そしてこの四つの概念が揃うと初めて“世界”が成り立つ。機械に埋め込まれたネジの様に、どれか一つが抜けただけで全てが台無しになってしまう。……それがキミ達が今存在している、世界の仕組みなんだ」
「『生』と『死』は何となく分かるんだけど、どうして『色』と『心』が共存関係なの?」
そう尋ねるフェイの言葉にアステリはしばらく考え込むと「例えば」と
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