精神の奥底
64 食い違い
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吸する前もなく、手すりを飛び越え晴れて3階のフロアに降り立つ。
そしてすぐに対象に目を向けた。
こちらを警戒している様子は無い。
あのような内容の電話をするような人物の割に警戒している様子が無いというのは違和感があったが、次の瞬間には違和感に気づく。
「女?」
ボイスチェンジャーを使っていた為、男か女かはっきりしなかったものの、かなりの確率で男だと思っていた。
しかし体型と髪型を見る限り女、しかも自分と歳も大して変わらない子供ように見受けられた。
すぐさま彩斗は走り出し、ものの数秒でその人物の腕を掴んだ。
「キャッ!」
その人物は軽い悲鳴のような声を上げるが、抵抗する素振りは見せない。
というよりもいきなりの自体に驚いて行動が遅れているという方が正しいような印象を受けた。
しかし驚かされたのは、彩斗の方も同じだった。
「君は……」
「沢城くん……」
2人は驚きのあまり動けなかった。
彩斗が捕まえたのは、ミヤの親友であり自分とも面識のある人物、三崎七海だったのだ。
これがきっかけとなり、完全に彩斗の頭に登っていた血が引いていく。
冷静さを取り戻し、七海の存在というものを振り返る。
よくよく考えてみれば、七海が最初に自分の見舞いに現れ、彼女の持っていた手紙によって彩斗は彼らと接触するに至った。
七海が彼らの仲間であっても不思議ではない。
そして逆探知の場所を示す点は自分の位置情報と完全に重なっている。
「良かった…私、さっきここに入る沢城くんを見かけて……」
「僕に電話してきたのは君か!?」
「え?何のこと?」
「とぼけるつもりか……」
「私はただ沢城くんに渡したいものがあって……」
「こっちに来るんだ!」
「え!?」
彩斗は七海を引っ張り、人目につきにくい非常階段の近くにやってきた。
七海がとぼけているようには見えなかったが、移動とともに逆探知した端末の位置も動いていることから七海が端末を所持していることは明らかだ。
「荷物を床において後ろを向くんだ」
「えっ!?なに?」
「いいから!」
彩斗は七海を壁に両手を着かせた状態で持ち物を検査する。
しかし捜し物は肩から腹部に掛けて触った段階ですぐに見つかった。
「これは何?」
「え?私のじゃないよ!?だって私のは……」
彩斗は七海のパーカーのポケットに入っていたZenfoneを見せる。
しかし七海はバッグの中からコンパクトサイズのAQUOSを取り出した。
彩斗は徐々に七海の意識にシンクロしていくが、100%とまでは言い切れないが、やはり嘘をついているようには感じられない。
仮に七海が電話の主の正体であったとしても、本人の口から自白させるのは難しい。
手掛かりはこの端末だけだ。
彩斗はす
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