精神の奥底
64 食い違い
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すことができた。
僅か3分程の通話だったが、自分を仕込んだ組織に怒りと不信感を覚えるには十分過ぎる濃密なものだった。
Valkyrieとディーラーは当然、潰さねばならないということはやはり彼らが言う通り、彩斗の中では理解できていた。
しかしその前に自分を利用しようとする存在の正体を知らねばならない。
その正体によってはValkyrieやディーラーより先に潰さねばならないと彩斗は悟った。
最後に強めに言い放って電話を切ったが、これはもちろん怒りを覚えたのもあったが、彼らを油断させる意味もあった。
ここまで精神的に追い込まれながらも、その感情を利用しているのが、自分でも恐ろしいと感じた。
「今の通話から居場所を特定できるはず……」
彩斗はすぐにBlackberryを操作し、アプリを起動する。
公式のアプリケーションストアにあるものではなく、彩斗が作成したオリジナルのアプリで他に使っている者はいない。
彩斗の端末を含め、ディーラーの人間が使っている端末に使用されている通信カードは通常の電話回線とネット回線だけでなく、ディーラーの衛星回線にも繋がっている。
インターネットがダウンした状態でもディーラーの衛星回線は健在だ。
このアプリはディーラーの衛星を利用して、特定の通信を傍受・解析することができる。
今の通話の履歴から発信元を逆探知するのだ。
すぐに衛星へのコマンドの送信が完了すると、レスポンスの待機状態へと移行する。
Uploading call information…
Phone number…ok
Call history… ok
Date and Time… ok
Completed.
Tracking location of [060-3A75-6SW4] …
[!]Detected.
Bulding location modules…
端末が特定され、居場所をポジショニングする。
衛星が逆探知した場所をスキャニングパルスで3Dモデル化し、詳細な位置を端末に送り返してくる。
それを見た彩斗は目を疑った。
「デンサンシティ…錦町大安3丁目?この建物の中……」
彩斗は周囲を見渡した。
電話の主は最初から彩斗を監視していたのだ。
だからこそ、狙いすましたかのようなタイミングで着信した。
冷静になって考えると、声だけでは伝わらない微妙な感覚も全て見抜かれているような違和感あった。
全てこちらの顔色を目で見ていたなら合点がいく。
彩斗は再びBlackberryのディスプレイを見た。
逆探知が進むに連れ、徐々にショッピングモール内の正確な居場所が赤く点滅する点として表示される。
「……3階…ノースストリートを移動中」
彩斗はすぐに移動を始
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