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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
64 食い違い
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アを眺めていると、不思議と狭くなったような感覚があった。
当然、今よりずっと身長も低く、見るもの全てが新鮮だった時の記憶だ。
目線が高くなり、良くも悪くも世の中に慣れてきたら新鮮味も無く、ただの景色へと変貌を遂げてしまう。
昔、アイスクリーム屋片手にここから見下ろした景色とはまるで違う。
今、体を預けている手すりでさえ、経年劣化からか安全に関する法律の改正の為か、より強固で人が落下しにくいものへと変わっている。
同じところ強いて言えば、人が多いことくらいだろう。
しかしその客も昔のようにほぼ100%ニホン人だけではなく、空港から地下鉄で直結しているのもあって、外国人観光客の割合が増えている。
案内表示もニホン語、英語、中国語を基本にドイツ語、フランス語、イタリア語と様々な国の言語が目につく。

「…ふぅ」

彩斗は一度、深呼吸をするとポケットからBlackberryを取り出した。
念の為に自分が気づいたValkyrieが今後起こす可能性のある行動を伝えておく必要がある。
電話帳の数少ない連絡先からハートレスを選んで、発信キーを押そうとした。
しかし次の瞬間、着信が入った。
滅多に鳴らない着信音とヴァイブレーションに一瞬だけ驚いて頭が真っ白になる。
しかしそれ以上に不気味さを覚えていた。

「知らない番号……」

端末を手に取った瞬間という狙いすましたかのようなタイミングであることもそうだが、公衆電話でもなく、フリーダイヤルからの着信でもない。
かといって非通知というわけでもない。
自分の番号を知っているのは、ハートレス、クインティア、ジャック、メリーを含めたディーラーの人間を除けば、ミヤ以外にはいない。
しかしディーラーの人間の番号は登録されている以上、彼らではない。
数秒後、頭の中が整理できた段階で応答する。

「はい……どちら様で…」

『なかなかの成果を上げているようだな、同士よ』

「!?お前は……」

変声期を使ったような予感通りの不気味な声だった。
彩斗の背筋に悪寒が走った。
聞き慣れない声だというのに、電話の主の正体をすぐに把握する。

「紺碧の闇……」
『クックックッ…そう構えるな。今日はお前に指示を伝える』
「指示?」
『お前ならば既にValkyrieの計画に勘付いているだろう。奴らはまだこの街での作戦を諦めてはいない』
「やっぱり……それで?」

『単刀直入に言う。Valkyrieを潰せ』

彩斗はこの僅かな時間の通話で一気に現実へと連れ戻された。
目に映るモール内の景色も青みを帯び、感覚が鋭敏になる。
自分の周囲を歩く人々がまるで隙あらば襲ってくるかのような錯覚に囚われた。

『お前は我々と接触したことをディーラー、いやハートレスには多少勘付
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