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おぢばにおかえり
第三十八話 夏になってその七

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「半ズボンがいいけれど」
「涼しいからね」
「しかもデザインも大人しいし」
 膝までのタイプは特にです。
「半ズボンならね」
「一番いいわね」
「スパッツだと」
 こちらの体操服だとです。
「結構スタイル出るから」
「下着のラインとか見えるしね」
「結構下着のラインって気になるから」
「しかも見られるし」
 男の子達にです、中学の体操服は半ズボンとスパッツのどちらかを選ぶことが出来ましたがスパッツはそこが気になりました。
 それで私はこう皆に言いました。
「だから半ズボンがいいけれど」
「その半ズボンも」
「うちにはないのよね」
「夏も冬もジャージ」
「一貫してね」
「だから夏はそのことも嫌なのよ」
 私はまたこう言いました。
「体育の時は余計に暑いから」
「ただでさえ身体を動かすから暑くなるのに」
「それが余計に、だからね」
「辛いわよね」
「夏は早く終わって欲しいわ」
 切実に願っていました、そんなことを思いながら夏のおぢばにいますが。
 阿波野君にもです、こう言われました。
「確かにおぢばって暑いですよね」
「そうでしょ」
 こう阿波野君に返しました。
「神戸にいたら困るのよ」
「わかります、僕も奈良の山の方に住んでますけれど」
「三重県に近い方よね」
「宇陀にいますけれど」
 奈良県の東の方です、全体の位置では北東にあたります。
「そこは山の中で涼しいんですよ」
「夏でもなのね」
「冬は桁外れに寒いですけれど」
 それでもというのです。
「夏は涼しいですよ」
「それは有り難いことね」
 私はお話を聞いてしみじみと思いました。
「夏がそうだと」
「というか先輩夏苦手ですか」
「ちょっとね」
 阿波野君に少し困ったお顔になって答えました。
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