772部分:第百十八話 閉じられている目その五
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第百十八話 閉じられている目その五
全ての世界があった。そこは。
「天魔降伏!」
「天魔降伏だと」
「そう、これこそがここで出した私の技」
こう言うのだった。ケーレスはその世界を見てだった。
険しい目で述べた。二人が今浮かんでいるその世界を見てだ。
「六界か」
「そうです、ここがです」
その六界だというのだ。シャカはその世界について言ってきた。
「まずは私達の世界、人界」
「見えている」
それを見ての言葉だった。
「人間達の世界がな」
「ここから上がれば下がりもします」
シャカもまた浮かんでいた。手と手を少し間隔を開けて向かい合わせ胸の前に置いている。そしてその目はまだ閉じたままであった。
「そう、極めて不安定な世界です」
「次に修羅界か」
「互いに戦い合い殺し合う世界」
「我々の世界だと言いたいのか」
「近いのは事実でしょう」
それはというのである。
「しかしです」
「しかしか」
「そうです、しかしです」
また言う彼だった。
「貴方達はこの世界と同じでありながらまた違いますね」
「アーレス様は一つの世界に留まられる様な方ではない」
ここでもアーレスの名前を出してみせたのだ。
「だからこそだ」
「左様ですか」
「そして畜生界」
「獣の世界か」
「この世界もまたあります」
獣達もいた。互いに吼えてそのうえで彷徨っている。そうしているのだ。
そしてその間にだ。今度は腹だけが膨れ痩せ細った卑しい存在がいた。それは。
「餓鬼達か」
「そうです」
今度は餓鬼道であった。
「餓えと渇きに苛まれ続ける。苦の道です」
「そこに堕ちる者もいるか」
「如何にも。しかしまだ下はあります」
その下もあるというのだ。
「下がです」
「地獄か」
「それがここです」
その地獄界も見えてきた。亡者達が鬼達から様々な責め苦を受けている。そこだった。
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