771部分:第百十八話 閉じられている目その四
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第百十八話 閉じられている目その四
両手を独特に構えたそこから放ったのは夢幻と思われる妖しい雲だった。それを放ってきたのだ。それを今彼に対して放ってきたのである。
「これだけではない」
「最大の技はもう一つですか」
「表があれば裏がある」
ケーレスはまた話してみせた。
「この技は言うならば表」
「そして裏もある」
「そうよ、裏があるわ」
また言ったのである。そうしてだ。
雲がシャカを覆う。その雲はだ。
「毒、ですか」
「私は毒もまた使うことができる」
放ってからの言葉であった。
「そしてこの毒はただの毒ではない」
「あのデスハンキングはほんの余興だというのですね」
「今の技から見ればそうだな」
まさにそれだというのだ。
「それに過ぎない」
「あの時はカーンで焼くことができましたが」
「今度はどうする、バルゴよ」
「方法はあります」
ここでもシャカは動じてはいなかった。
「今もです」
「そうか。ではいよいよ」
「ええ、そうですね」
「見せてもらう」
ケーレスの技はさらに包み続けている。そのシャカをだ。
毒がシャカを覆わんとしている。その中でまた彼に言うのである。
「この毒はだ」
「尋常な毒ではありませんね」
「そうだ。神の毒だ」
まさにそれだというのだ。
「ただ防げるものではない。黄金聖闘士であってもだ」
「黄金聖闘士はただの毒では倒されません」
それも言うシャカだった。
「しかし神の毒にはですね」
「防げるものではない。現にだ」
大気が溶けていた。その毒によってだ。
「見ろ。この通りだ」
「はい、見えています」
目を開いてはいないがだ。それでも見ているのである。
「既に。それは」
「では何をするというのだ?」
「私もまた技を見せましょう」
そうすると。シャカは遂に言った。
「私のこの技を」
「むっ!?」
「見るのです」
今の言葉と共にであった。
シャカの小宇宙が沸き起こりだ。そうしてだった。
「このバルゴのシャカの技の一つ」
「遂に来たか」
「そう、これこそが」
世界が変わった。それはこれまでの玄室ではなかった。
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