77部分:第九話 知っていた罠その三
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第九話 知っていた罠その三
「何ていうんだ?」
「公爵、サルガタナスのロジャー」
長く黒い髪に落ち着いた面持ちの男が名乗る。
「子爵、アンドレアルフスのエリシャ」
鋭めの目をした黒く長い髪の美女だった。
「男爵、セエレのライネル」
短い金髪に眉と近い細めの目の精悍な男だ。
「公子、ダンタリアンのシロウ」
まだ幼さが見える少年だ。小柄で鬣に似た髪を持っている。
「我等四人、援軍として参った」
「キャンサーの黄金聖闘士よ、いざ勝負」
ロジャーとエリシャが言ってきた。彼等はリィナ達と共に横一列に並んでデスマスクに名乗りをあげてみせた。デスマスクは彼等のその名乗りを聞いても余裕の笑みを浮かべ続けている。そのうえでの再びの言葉だった。
「じゃあ、十人纏めてあの世に送ってやるぜ」
「この男、まだ」
「我等を見てもその態度のままか」
「俺はいつもこの態度なんでな」
狂闘士達の怒りを前にしてもやはり平然としている。
「まあ気にするな」
「ふん、まあいい」
アトロムが言ってきた。
「まずはこの俺が相手をしてやる。覚悟しろ」
「馬鹿か御前は」
だがデスマスクはアトロムに対して言った。その前に出て来た彼に対して。
「一変に来いと言った筈だぜ。もう忘れたのかよ」
「馬鹿な、まだ言っているのか」
「その余裕は何処から」
「余裕ってのはな、実力から自然と出て来るものなんだよ」
語るその周りにまたあの青い燐が浮かびあがってきていた。
「それが俺と御前等の差なんだよ。わかったら早く来な」
「カナン様」
ユニがカナンに声をかけてきた。
「何だ」
「この不埒者許してはおけません」
どうやらデスマスクの今までの言動に本心から怒りを覚えたようである。
「是非我等にお任せ下さい」
「見ていろというのか」
「宜しいでしょうか」
あらためて彼に対して問う。
「それで」
「自信の程は」
「なければこの様なことは言いませぬ」
これが彼女の返答であった。
「決して」
「そうだな。それではだ」
「はい」
カナンの言葉に対して頷く。
「任せよう。頼むぞ」
「有り難きお言葉。それでは」
「何だよ、ボスはお休みかよ」
デスマスクは今の二人のやり取りを見たうえで茶化すように言葉をかけてきた。
「何だか面白くねえな」
「いい加減に軽口を止めたらどうか」
ロジャーの言葉には苛立ちが僅かではあるが混ざっていた。
「さもなければ楽には死ねんぞ」
「ほお、じゃあどういう死に方なんだ?」
「我等全員の手によって」
ロジャーの言葉に合わせて全員の手がデスマスクに対して向けられる。
「貴様を冥界に送ってくれる」
「全身を血塗れにさせてな」
「言ってくれたな。じゃあこっちもその
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