贖罪-エクスピエイション-part4/学院の危機
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その日の真夜中、銃士隊の隊員たちが魔法学院の周囲に不審者がいないか、夜の警備にあたっていた。
「そちらに異常はなかったか?」
「ああ、大丈夫だ。問題ない」
二人の銃士隊隊員が、互いに異常がなかったことを報告し合う。
だがその直後、彼女たちが危惧していた異常か降りかかる。
「っ!」
殺気を感じて、隊員の一人が銃を、それを見てもう一人も剣を抜く。彼女たちは人知れず、メイジを含めた犯罪者を相手にしてきた。怪獣や星人に敵わなくとも、それでもそこいらの戦士よりも訓練されている。今自分達に、何者かが明確な殺意を向けているのを瞬時に察するくらいに。
だが、その警戒は無断に等しい形で終わる。黒い炎が、彼女たちを襲う。その邪悪な炎は彼女たちを焼き付くし、悲鳴をあげる間も与えずに消し去った。
入れ替わるように、彼女たちが立っていた芝生を……いや、芝生もろとも焼かれた地面を踏むメンヌヴィルが現れる。
「闇の力が高まっている。だがお陰で『白炎』ではなくなってしまったな」
二つ名はメイジの魔法の特徴を現す。だがメンヌヴィルの炎は、いつしか真っ黒に染まったものに変化していた。これも彼の中にある闇の力が進化した影響だろう。
「だがまあ、どうでもいい。新しいおもちゃが俺のもとに来てくれるように、地盤を固めておくとしよう」
ダイナのせいでネクサスには逃げられてしまったが、新たな獲物…このハルケギニアを守護している光の救世主である。そいつを焼き尽くして漂う死臭はきっと甘美なものだろう。
ニマッと笑ったメンヌヴィルの周囲に、十数名ほどの男たちがそろう。全員目に生気が無かった。
闇の巨人たちの眷属…ビーストヒューマン。命を奪われ、ただの血肉を貪るだけの肉人形。彼らはメンヌヴィルの意思のまま、行動を開始した。
同じ頃、キュルケは自室をノックする音で目を覚ました。寝ぼけ眼と扇情的なネグリジェ姿でタバサを迎える。夜中なのにタバサは制服に着替えていた。
「なぁにタバサ?まだ日も昇ってないのに」
「……外が変」
タバサがそう言われ、キュルケは耳を済ませた。外から何か騒がしい音が聞こえる。そして、悲鳴も。
「みたいね」
キュルケはすぐに制服姿に着替え、杖を取ってタバサと共に外に出た。
その後、学院内の生徒・教師両方の寮に、メンヌヴィルが率いるビーストヒューマンの群れが押し寄せる。立ち向かおうとした者もいたが、杖がなくては無力なメイジが、人間であることを奪われると引き換えに、魔法がなくても人間を越えた存在となったビーストヒューマンに敵うはずもなかった。それに真夜中の不意打ちという状況、突然の襲撃者に対応できず次々と捕縛されていった。
奴らの魔の手は、彼らにも押し寄せる。
コルベールの研究室。そこには学院の地下で眠りについていたところを保護され
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