贖罪-エクスピエイション-part4/学院の危機
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りなのだ。少なくとも一人残っているだけでも、十分ウルトラマンに対する人質としての効果があることをいいことに卑劣さを露骨にしている。
なんということだろうとオスマンは思うしかなかった。こんなにも人殺しを楽しむ人間がいるとは。それだけじゃない。自分たちはただウルトラマンに助けを請うばかり。恩を返すこともできず、中にはそれをいいことに私服を肥やす貴族もいる。そればかりかこうして彼らの足を引っ張るようなことになっている。
つくづく自分たち貴族が、国の中で…ハルケギニア内では数多の平民たちの上に立っているというのに、こうして自分たちより強大な存在を前にすると、すぐに縮こまるしかない…無力な己を呪うばかりだった。
人質の中には平民も混ざっている。そしてその中には…不運にもシエスタもまた混ざっていた。生徒の一人がメンヌヴィルの脅迫によって無理やり泣き止まされたことで、彼女も流れかけた涙が引っ込んだほどだった。
(サイトさん…早く…助けて…)
あの時と同じように…。以前モット伯爵の屋敷で危ないところを救われたときの事を思い出して、シエスタはここにはいないサイトに助けを必死に求めていた。
シュウは、捕まってしまった人達の安否を、食堂の窓から、中にいるメンヌヴィルたちに見つからないように確認した。
(やはり奴が来ていたのか…)
中にいるメンヌヴィルが、テーブルの上に足を乗せた状態で待っている姿を見て、シュウはうんざりした気持ちと戦慄を覚える。
しかも奴らの目的も聞こえた。食堂に捕まっている人達は、ウルトラマンを…自分やサイトをおびき出すための人質なのだ。
すると、そんな彼の背後から気配がした。警戒のため、とっさに振り向いてその姿を確認する。やってきたのはコルベールだった。
「おぉ、クロサキ君。無事だったかね」
「コルベール、先生…あなたは無事だったのか?」
教員用の寮に泊まると聞いていたのだが、そんな彼がここで無事だとは思わなかった。
「せめて研究室に置いていた資料を、時間つぶし用に持っていこうと思っていたのだが、それと同時に賊が入り込んでしまったようだ」
妙な偶然が重なったことで助かったらしい。運が良い人だ、と思った。
「リシュ君はどうしているんだね?」
「あいつなら研究室に隠れているように言っておいた」
「そうか…」
さすがに危険な場所まで幼い子供を着いてこさせなかったシュウの判断に、コルベールはほっとした。
「お前たちも無事だったのか」
そんな彼らの元に、アニエスが、そしてキュルケとタバサの三人が現れる。
「あら、そこの素敵な殿方はともかく、ミスタ・コルベール…あなたも捕まらなかったんですの?」
軽蔑しきった様子のキュルケの言葉に、コルベールは特に動揺せずに首を横に振った。
「たまたまさ。しかしまずいことになった
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