暁 〜小説投稿サイト〜
Three Roses
第二十六話 叔父として王としてその十四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「国の決意として」
「それはロートリンゲン家ではです」
 最後にキャスリング卿が言った。
「出来ないことですね」
「はい、決して」
「確かに国内で新教を認め教皇庁とも対立していますが」
「ローロトリンゲン家は旧教の家です」
「旧教の守護者とも言われる」
「旧教はです」 
 ロートリンゲン家にとってはというのだ。
「まさに絶対です」
「そうした存在ですね」
「家の儀礼に入れるなぞはです」
 新教のそれはというのだ。
「出来ません」
「そうですね」
「この国は新教の国になりました」
 マリーは強く言った。
「そしてそれはです」
「確かにしたいですね」
「教皇庁とも王国とも違い」
 そしてというのだ。
「帝国ともです」
「また違う」
「そうしたことを示す為にも」
 この国はこの国だというのだ、マリーは帝国と手を結びつつもこの国を完全な独立を考えていた。それでなのだ。
「だからこそ」
「だからですね」
「はい」
 何としてもというのだ。
「この国のあるべき姿は」
「新教の国ですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そうあるべきです」
「若し旧教になれば」
「この国は帝国となります」
「実質的に」
「左様です」
「版図に入れられることもですね」
「充分考えられます」
「ロートリンゲン家がそうしてきたので」
「そうです」
 まさにというのだ。
「あの家の過去を見ますと」
「一領主からはじまり」
 大陸でも随一の権勢を誇る名家もかつてはそうだった、大陸中央の山脈に近い場所にそれなりの領地を持つだけの田舎の領主だった。
 それがだ、何も後ろ盾がないから権勢も持っていないという理由で当時帝国で権勢を持っていた選帝侯達に皇帝に選ばれてだったのだ。
「皇帝にまでなった理由は」
「はい」
 まさにというのだ。
「度重なる婚姻政策により」
「次から次にと領地を得て」
 長い歳月も経て、である。ロートリンゲン家も一日にして成らずだったのだ。
「そしてでしたね」
「今に至ります」
「婚姻で版図を得た国です」
 まさにというのだ。
「ですから」
「この国も」
 やはり、というのだ。
「そうなろうとも」
「おかしくはないですね」
 こう話した、そして。
 そぽの話のうえでだ、マリーは側近達に述べた。
「この国がこの国である為には」
「そうですね、やはり」
「旧教に戻ってはなりません」
「何があろうとも」
「それは」
「そう思います」
 四人の側近達も言う。
「分けてそのうえで」
「王室の儀礼に新旧双方を入れ」
「融和も図る」
「新教が優位のまま」
「そうしていきましょう」
 マリーは確かな決意で述べた、その話の翌日だった。
 王は遂
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ