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Three Roses
第二十六話 叔父として王としてその十三

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「あの方は」
「はい、非常にです」
 大司教はそのマリーに深く考える目で話した。
「政治家として立派なものをお持ちです」
「識見がおありで」
「人を惹き寄せるものも持たれ」
「素晴らしい方ですね」
「はい、完全な敵でなくて幸いでした」
 この国と太子の帝国は盟友となっている、王国に対する。それで彼等はこのことはよしとしているのである。
 だがそれでもだ、大司教は言うのだ。
「ですが国内のことでは」
「今の様に」
「はい、敵でもあるので」
「そのことを考えますと」
「厄介です」 
 そうなるというのだ。
「非常に」
「左様ですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「複雑な事情もあります」
「あることでは味方でありあることでは敵である」
 デューダー卿は考える顔で話した。
「そうした方ですね」
「出来ればです」
 ここでまた言ったマリーだった。
「旧教徒達とは論争になりましても」
「勝つよりはですか」
「引き分ける方がいいかも知れないですね」
「はい、確かに」
 その通りだとだ、デューダー卿も頷いた。
「勝つとです」
「国内の旧教徒達がです」
「力をなくし過ぎますね」
「それを見た王国や教皇庁が入ってきます」
「旧教徒達への救援と称して」
 そうした理由にしてというのだ。
「この国にさらに強く介入してくるでしょう」
「それをさせない為に」
「引き分けてです」
「旧教徒の勢力をですね」
「そのまま維持させ」
「そして、ですね」
 今度はロドネイ公がマリーに聞いてきた。
「さらに手を打たれますね」
「王室のあらたな儀礼を定めますが」
 それはというのだ。
「新教と旧教の双方を入れた」
「その様な、ですね」
「儀礼をと考えています」
「そうなのですか」
「考えていきますと」
 どうしてもというのだ。
「旧教には勝つのではなく」
「分ける方がいいのですね」
「最初から分けていいと考えていました」
 これはその通りだ、マリーは実際に新教と旧教の論戦になった際は引き分けでもいいと考えていた。しかし。
 ここでだ、こうも言ったのだった。
「ですが」
「今は、ですか」
「分けてです」
「それからですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「王室の儀礼を変えて」
「双方を取り入れることにより」
「共存と融和を決めたいと考えています」
 これがマリーの今の考えだった。
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