第46話『白鬼』
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がする。王都から逃げているようには見えないし、もしかしてウォルエナの襲撃と何か関係があるのか?
「うん? ヒントがあれば、何もかも理解できそうだと言わんばかりの表情だね。ヒント、あげようか?」
「わかってんなら、答えを教えろ…」
「はぁ、せっかちだねぇ。でも、特別に教えてあげよう。そうしたら素直に死んでくれるかな?」
「物騒だな…。そこで、『はい』って言う奴は普通いないだろ…」
周りの惨状とはギャップしかない少年の態度。それなのに、さっきから何1つ、彼についての理解が進まない。
それでも眩む視界を気力で保ち、晴登は言葉を紡ぐ。
「大体…お前は何で逃げない? 危ないのは、お前も一緒じゃないのか?」
そう言うと、彼はニッコリと微笑んだ。
普通なら可愛いはずのその表情も、晴登には焦燥感を煽ってくるものでしかない。場違いすぎるのだ。
その後の彼の言葉も、驚愕に尽きるが。
「ボクが危ない訳がない。だって、ウォルエナはボクの飼い犬だもの」
「は…!?」
「ボクが主人で、アイツらは下僕。この街への襲撃も、全部ボクが仕組んだんだよ?」
「おい、待てよ……嘘だろ」
晴登は告げられた事実に絶句する。
このウォルエナの襲撃が誰かによるものだなんて、想像すらしていなかった。
だが思い起こせば、おかしい点ばかりだ。
ウォルエナが王都に襲撃した時点で既に違和感だが、時間差で攻めてくるなんて、いくらなんでも獣にしては賢すぎる。
これが人為的だというのなら・・・辻褄が合う。
この少年が、諸悪の根源なのだ。
「お前のせいで…王都が大変なことに、なってるんだぞ…!」
「それはわかってるよ。まぁこの街は無駄に広いから、皆殺しにするのにはもう少し時間がかかりそうだね」
「お前…!」
彼の言葉を聞いていると、腹立たしさが幾分にも増していく。絶対に許してなるものか。
こんなのに関わってる時間は無いが、その鼻っ柱をぶん殴らないと気が済まない。
「ユヅキを、探さなきゃいけないってのに…」
「…! 今、何て言った?」
「あ? だから、ユヅキを探さなきゃって…」
『ユヅキ』というワードに、少年が驚いたような反応を見せる。
ユヅキを知っているということだろうか? こんな殺戮者とユヅキにどんな関わりが・・・
「お前、ユヅキを…知ってるのか?」
有力かは分からないが、ユヅキについて知っているなら何でもいい。
晴登は、若干焦り気味に問い詰めた。
すると・・・
「・・・あぁ、もちろん知ってるさ。何せボクのただ1人の“姉”だからね」
「は…?」
少々の間を置いて放たれた予想外の答
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