第46話『白鬼』
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違う、やっていない。でも、家族を疑われるというのも心外だ。
昔の話だが、お父さんもお母さんもそんな人じゃなかったはず。親戚はあまり知らないから何とも言えないけど・・・
「たぶん…いないです」
「…困った答えだな。素直に言ってもらわないと、僕は誰に復讐すればいいのかわからないよ」
「え、復讐…?」
「当たり前さ。故郷をこんなにされたんだ、復讐しないと気が済まないね」
そうか。先々から感じていた、彼の怒りの原因はそこだったのか。……イメージ的には、そんな物騒なことをする人とは思えないけど。
「…ボクか、その周りが犯人だと言うんですね」
「ああ、そうさ。百歩譲っても、犯人は君の親族だ」
ユヅキはその説に対して、落胆の色を隠せない。
自分が犯人ではないのは確実だが、自分の身内がこんな惨状を招いたのかと思うと、とても悔やみきれないものがある。
一体、誰がこんなことを・・・
「…時に、以前君と一緒にいた少年はどうしたんだい? 彼は無事なのか?」
「ハルトですか? いえ、実は今はぐれてて・・・それで手掛かりがないか、ここに来たんです」
「なるほど…。いくら魔法が使えても、彼1人は危険だね。街の人々は外には出られないようだし、彼も王都内にいるだろう。僕も捜すのを協力するよ」
「いいんですか!?」
まさに願ったり叶ったりな提案。
ユヅキは表情を輝かせながら、その申し出を受け入れる。
しかし青年は、「ただ1つ」と前置きを入れ、
「僕が君に協力するのは、真犯人を探すためだ。証拠が有ると言っても、君が10割犯人だと示せるものじゃなかったからね。君と一緒に行動していると、何か掴めそうな気がするよ」
青年はバツが悪そうにそう言った。
どうやら、ユヅキにキツい当たり方をしたのを反省しているようだ。
だが当の本人はそれを気にせず、増援に歓喜し続けるだけだが。
「それじゃあ、よろしくお願いします!」
「…あぁこちらこそ」
状況は変わらないが、晴れて和解した二人だった。
*
「残念だよ」
「がぁっ…!?」
予期せぬ一発を喰らい、石造りの通路に頭から突っ込んでしまう。
横腹で何かが肉を抉る衝撃を、痛覚を通して電撃となって身体中に伝わった。
「な……にが…?!」
口から溢れてくる血を拭いながら、晴登は横腹の様子を窺う。
・・・現状は、見ただけでも気持ち悪くなるくらいの大怪我だった。擦り傷を通り越して、皮膚が剥ぎ取られている。ドンドンと服に血が染みてきた。
晴登は何とか首だけを動かし、怪我の要因を探した。飛来物、それだけはわかっている。
すると、自分の進
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