時期を待て!!
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の自制心を奪ったようだった。
「プロデューサーというのはな・・・!!ディレクターを下っ端同然にこき使うのではなく、共に企画をし、共にアイドルをトップに押し上げていこうという気概と意識を持った同志なんだァ!!」
ルパートが立ち上がった瞬間、ルビンスキーの上着から閃光がほとばしった・・・ように見えた。その正体を認識したルパート・ケッセルリンクは信じられないという表情を浮かべて凍り付いている。
光り輝く契約書が反旗を翻したディレクターの目の前に突きつけられていた。
――フェザーンの自治領主アドリアン・ルビンスキーを、正式に我がWIL48のプロデューサーとして以下の契約を結ぶ――。
WIL48プロモーター兼スポンサー ラインハルト・フォン・ローエングラム
「そ、そんな・・・そんな・・・・・バカな・・・・。」
ルパート・ケッセルリンクは急に糸の切れた操り人形のように、くたくたと分厚い絨毯の上に膝をついた。もう彼には、それ以下に書かれている輝かしい各条項を読み取る気力はない。
「私を少し甘く見たようだな、ルパート。」
ソファーから立ち上がって、哀れなディレクターを見下ろしたルビンスキーの声は、無感動だが、わずかに抑えきれない喜びが見え隠れしていた。
「お前が私を出し抜いてWIL48のプロデューサーになろうとしていたのは、わかっていたのだ。今夜この家に来た目的もな。だから先手を打ってローエングラム公と契約を結び、この契約書を用意しておいたのだ。・・・どうだルパート。」
ルビンスキーが息子の耳元に顔を近づける。
「今後も我がディレクターの一員として働くチャンスをお前にやろうか?」
「この腐れ外道!!」
ルパートは罵ったが、それだけのことに膨大な努力を傾けねばならなかった。ルビンスキーは哀れな息子に憐憫さのこもった眼差しを向けながら言った。
「お前は私に悪いところが似すぎたな。もう少し覇気と欲が少なかったら、いずれWIL48のプロデューサーの地位を私から譲られんこともなかったろう。お前は何でも知っていたが、ただ、時期を待つ、という事だけを知らなかったな・・・・。」
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