765部分:第百十七話 己を捨ててその三
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第百十七話 己を捨ててその三
「聖闘士ならば一度見た技なら見切ることができる」
「だからこそか」
「神の技であろうと見切ることができる」
また言ってみせたのであった。
「そしてじゃ」
「そして?」
「次はわしの番じゃ」
それだというのだった。
「行くぞ」
「来るというのか」
「わしの最後の技じゃ」
その技の名はまだ言わなかった。
そのかわりになのだった。キュドイモスの後ろから声がした。
気配もだ。その気配は。
「後ろに来たのか」
「そうじゃ。そして」
キュドイモスの身体を後ろから掴んできた。それからだった。
「来るのだな」
「わかるというのじゃな」
「そうでなければ後ろに来たりはしない」
「それでわかるというのか」
「そうだ、わかる」
後ろから自分を掴んできた童虎に対する言葉である。後ろを振り向きはしない。しかしそれでもはっきりと感じ取っていた。その気配をだ。
「では貴様の技は何だ」
「廬山亢龍覇」
今その技の名前を言ったであった。
「それがわしの技じゃ」
「廬山亢龍覇か」
「その技を今から出す」
そう言ってであった。童虎の小宇宙がさらにあがった。これまで以上にだ。まるで彼の全てを燃え上がらせるような。そうした燃焼であった。
その燃焼を後ろから感じ取ってだ。キュドイモスは問うのであった。
「これからどうするつもりだ?」
「貴様と共に天にあがる」
まずはそうするというのだ。
「そしてそのうえでだ」
「死ぬつもりだというのか」
「龍は滝を昇り天に達する」
ここで龍の話もするのだった。
「そして天に達した龍はじゃ」
「どうするというのだ」
「そのまま達し尽くし消える。達したならばじゃ」
「では童虎、貴様は」
「左様、御主と共にのぼり詰めてみせようぞ」
「いいのか?死ぬことになるのだぞ」
キュドイモスはあえて言ってみせたのだった。
「貴様も」
「命を賭けると言った筈じゃがな」
後ろの童虎の声は笑っていた。明らかにであった。
「それはのう」
「そうか。ならばだ」
キュドイモスはそれを聞いてだ。静かに述べるのであった。
「ライブラよ、貴様のその技私に対して見せるがいい」
「よいのか?脱出せぬのか」
「この状況でできるものではないな」
今の言葉は冷静そのものの言葉だった。
「最早な」
「それを察してなのか」
「そうだ。覚悟を決めることもまた大事だ」
こうも言ってみせたのだった。
「ならばだ。受けてみせよう」
「左様か。それではじゃ」
「技を出すのだな」
「行くぞ」
こう言ってであった。童虎はキュドイモスをその背中から掴んだまま上に上がった。両手で相手の両手を後ろから羽交い絞めにしてだ、そのうえでの技だ
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