763部分:第百十七話 己を捨ててその一
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第百十七話 己を捨ててその一
己を捨てて
「貴様を倒す為にはだ」
「むっ!?」
「言った筈だ、私は全てを賭ける」
キュドイモスが今言うのはこのことだった。
「命もだ」
「そうじゃな。お互いにな」
「今その全てを賭けてだ」
キュドイモスはその小宇宙を極限まで湧き起こらせた。そして同時にそれを燃え上がらせてである。そのうえで言ってみせてきているのだ。
「貴様を倒す」
「ではその技を見せてもらおう」
「いいだろう。行くぞ」
構えた。まずは右手を後ろにやった。
「このキュドイモス最大の技」
「来るか」
「今ここに。受けよ!」
その右手から恐ろしいまでの衝撃を繰り出した。いや、それは禍々しい幻影の衝撃だった。それを童虎に対して放ったのである。
「イリュージョンダスト!」
「この技は」
「私は混乱を司る」
その彼の司るものも言ってきた。
「そしてその混乱によってだ」
「全てを壊すというのか」
「ライブラよ、見るがいい」
技を放ったうえでの言葉だった。
「己の周りをだ」
「これは」
キュドイモスの言葉に応えて周囲を見るとであった。何と周りには無数の自分自身がいた。そのうえで彼自身を見て不敵に笑ってきていたのだ。
「わし自身か」
「そうだ。そしてだ」
キュドイモスはまた童虎に対して言ってきた。
「この多くの貴様を攻撃すればだ」
「わし自身が傷を受けるのじゃな」
「わかるか、それが」
「わからぬ筈がない」
童虎は冷静に返した。既に察していたのである。
「そうでなければわし自身を出してくる筈がない」
「しかもだ。この貴様の影達はだ」
無数の童虎を影と表現してみせたのである。
「貴様を撃つ。見るのだ」
「来たか」
実際にであった。それぞれの童虎が攻撃を放ってきた。それぞれの拳から放たれた無数の龍達が彼に襲い掛かってきたのである。
「さて、ライブラよこれはどうする」
「受ければ死、攻めても死か」
「しかも力は互角だ」
これもあるというのだ。
「貴様と全く同じだ。技も同じだ」
「何もかも同じであるわし自身が何人も襲い掛かるか」
「さて、どうする?」
また童虎に対して問うてみせた。
「この状況をだ。どうするのだ」
「言った筈だな、キュドイモスよ」
童虎は自分の影達から放たれるその龍達をかわしながらだ。そのうえで言ってみせた。その言葉には何ら動揺したものはない。
「わしは既に全てを賭けている」
「では。ここでもか」
「わし自身と闘い倒れるつもりはない」
それはないというのである。
「貴様を倒しそのうえで先に進んでみせる」
「その為にもか」
「そうじゃ、倒す」
こうしてであった。その全身の小宇
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