一日副官!適声試験!!
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負けることになるのか、そう思った時、ふと、大事なことを思いだしたアイゼナッハは愕然となった。
今日はATN48の野外ライブがある日ではないか!!!ATN48とはアレーナ・フォン・ランディールが発案した庶民アイドルの集団で「歌って踊れるそれでいて身近なアイドルがあなたのもとに!!」というコンセプトで始まった物である。ちなみにATNの意味はアンチ・チート・ナイツ【チートなんか消えてしまいなさい!!あ、ちなみに私たちは騎士なんで〜す!!】という意味なのだが、これはアレーナだけが知っていることだった。集団となった美少女たちが織り成すステージの破壊力は、既に帝国全土をATN48のファンで埋め尽くす勢いになっている。アイゼナッハも実はこのファンの一人なのだった。
コンサートチケットなどは高値で取引されており、アイゼナッハは苦労してようやくそれを手に入れたのだ。
まずい!!とアイゼナッハは思った。後2時間ほどでコンサートが始まる。だが、そのためには1時間有給休暇を取っていかなくてはならない。アイゼナッハはうっかりして今日の今日まで有給休暇の申請書を出していなかったのである。グリースがいてくれれば、そのようなことはすぐにやってくれるのだが、相手はキルヒアイスだ。ATN48などわかるだろうか?いや、そもそもそう言ったアイドルグループがこの銀河系にいることを彼は知っているのだろうか???
そして、最悪なことに、今日はグリースもグリーセンベックも不在だった。彼らは休暇だったのだ。目的はATN48のライブの観戦であることは言うまでもない。部下たちが行けて、上官たる自分がいけないとは!!ふがいなさを我慢しながら、アイゼナッハは頼みの綱の上官を見上げた。
頼む!!!通じてくれ!!!アイゼナッハはそう念じながら、キルヒアイスに向けて必死にジェスチャーを行った。
まずキルヒアイスに向けて人差し指を突き出す。そして両腕を頭の後ろに組んで、体をのけぞらせる。ついで体を起こすと何やらペンをとって書くような動作をする。
「1時間有給休暇を取りたいので、許可申請書を作成してほしい。」と。
キルヒアイスは目を見開いた。信じられないという表情が彼の顔に浮かんだ。暫く両者の間には無言の一時が流れた。
「わかりました。では早速手配いたしましょう。」
ほっ、とアイゼナッハは椅子に寄り掛かった。なんとかキルヒアイスは理解してくれたらしい。あの表情は無理もない。普段自分はめったに有給休暇など取らない。ましてその理由がATN48のコンサートへ行くことなのだと知ったら彼はどう思うだろう。それにしても、とアイゼナッハは思う。普段ならどんな用事でも5分もかからず戻ってくるはずのキルヒアイスがなかなか戻ってこないのはなぜなのだ、と。
アイゼナッハはやきもきしながら待った。ほどな
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