一日副官!適声試験!!
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た。彼女にならアイゼナッハも多少の手心を加えるに違いない。いや、もしかしたら一日何もしないで済むかもしれない。要は一日耐えればいいのだ。簡単なジェスチャー一つクリアすれば、それで立派に「伝達」を果たしたことになるではないか。
多少曲解のきらいがないでもないが、ともかくフィオーナは「一日副官」として勤務に就くこととなった。
静かな部屋にただ女性の美しい澄んだ声のみが響くというのは、いいものだろうが、内容が内容なのでアイゼナッハも表情を変えない。もっとも彼の胸中は複雑だった。
アイゼナッハも木石ではない。妻子持ちだったが、美貌の女性が副官であってくれれば、彼としては申し分ない。しかもその副官がてきぱきと仕事ができる人ならなおさらだ。彼女のおかげで溜まっていた書類は滞りなく決済され、問題は一掃され、今穏やかな時間の中こうして提督執務室で時を過ごしている。
しかしながら、と彼は思う。いくら賭けとはいえ、上官が・・つまり、上級大将が大将の副官でいいのだろうか、と。
「提督、何かお飲み物はいかがですか?」
女性からこんな風に言われてみたい物だとかねてから思っていた。そして今それが文字通りかないつつある。アイゼナッハはこんなことを考えてくれたミッターマイヤー提督にひそかに感謝しつつ、ゆっくりとうなずいた。手を動かすジェスチャーよりもこの方がわかりやすいだろう。
「はい。すぐにお持ちしますね。何がよろしいですか?」
さて、何にしようか。今はちょうど10時、おやつの時間だ。普段の自分ならここでコーヒーを一杯もらうのだが、相手が女性であれば、紅茶が望ましいのではないか。そう思ったアイゼナッハは指を3度ならした。
「・・・・・!!」
とたんにフィオーナの顔色が変わった。彼女は慌てた様に手元のメモ帳を取り出してあわただしくめくっている。
「え、え?え!?3回?・・・ええっと、確かOVAだと・・・1回がコーヒー、2回がウィスキーだったわよね。あれ、でも、3回ってあったっけ?」
しまった!!そうか、3回は彼女のヴォキャブラリーにはなかったのか。アイゼナッハは内心しまったと思ったが、今更訂正するのも間が悪いので、やめておいた。
「3回・・・3回・・・・3回・・・・。」
フィオーナが呪文のようにそれを唱えていた。それを見守るアイゼナッハの顔にも汗が出ている。頼む!どうか意志が通じてくれないか!
「あぁそうなのだわ!!!」
フィオーナは不意に叫んで、にっこりとアイゼナッハを見た。
「はい、提督。すぐにお持ちしますね。」
そして軽やかな足取りで出ていった。ほっと一息ついてアイゼナッハは椅子の背もたれに寄り掛かった。
きっかり3分後――。
湯気の立つ香りのいいものがカップに入れられて、運ばれてきた。2つ。
「お待たせいたしました。提督、
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