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銀河HP伝説
一日副官!適声試験!!
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ず理解できるに違いない、と諸提督は思っていた。そんなわけでルッツは「アイゼナッハの一日副官」という臨時職に就くことになったのである。
「・・・・・・。」
ルッツはアイゼナッハの挙動を一挙一動余さず見逃すまいとずっと視線を張り付けたまま傍らに立っていた。もう2時間近くも立ちっぱなしである。
だが、アイゼナッハは先ほどからずっと前を向いたまま身じろぎ一つしない。
「おい、アイゼナッハ。」
たまりかねてルッツは声をかけた。
「何か不足はないか?書類の整理をしてやろうか?それともコーヒーでも持ってくるか?」
暖簾に腕押しだった。アイゼナッハはヤーともノインとも言わず、微動だにしない。
「なんということだ、之では俺は人形同然ではないか。」
ルッツが思わず天を仰いだその時だ。アイゼナッハが右手の人差し指と中指を掲げた。Vサインに似ているが、わざわざ指の腹の部分をルッツに見せている。これは何かあるに違いない。
「・・・・・・!!」
ルッツはうろたえた。こんなジェスチャーは事前にグリースに聞いたものの中にはなかったのだ。ルッツはもう一度アイゼナッハに目顔で懇願した。「いったいどういうつもりなのだ?」と。
アイゼナッハは顔色を変えずに、またもう一度同じ動作を繰り返した。ルッツは絶望的な気分に陥った。いくら考えてもアイゼナッハのジェスチャーを理解できないのだ。ルッツは焦った。焦りに焦った。
(待て、よく考えろコルネリアス・ルッツ!アイゼナッハは何をしようとしているのか?何を欲しようとしているのか?コミュニケーションが絶望的に無理な以上は周りの状況から判断するほかない!)
ルッツは周りを見まわした。今書類決済箱には何もない。そして時刻は12時を回っている。午後の予定は1時から幕僚会議だ。そこまで思い至った時、ルッツの脳裏に天啓がひらめいた。
(わかったぞ!!そうだ!!そうに違いない!!あえて指の腹を見せたということは、すなわち「腹」を強調したいのだ。そして時刻は12時を回っている。つまり昼飯が食いたいということだ!そして2本出したということは、アイゼナッハと俺の二人分を持ってこいということなのだろう!なんだ、簡単なことではないか!!)
ルッツはさぁっと目の前の靄が晴れ、晴天を仰いだような気分になった。彼はいそいそと部屋を出ていき、とびっきり上等の昼飯を2人前注文するように従卒に指令した。
「大急ぎだ!とびっきりうまい飯を頼むぞ!」
ルッツはそう念を押した。

そして5分後、超特急の速さで持ってこられた昼飯をルッツはアイゼナッハの前に出してやった。デスクはルッツの手際よさで、片付けられ、綺麗に拭かれ、2人分のお茶も出ている。
「さぁ、どうだ!!卿も腹が減っただろう。俺の分までオーダーの指示をしてくれるとは、僚友がいのあるやつだ。一緒に食おう
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