一日副官!適声試験!!
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向けたが、当の本人は面白いのだか面白くないのだかよくわからない、つまりいつものとおりの顔でいつものとおりの酒をいつもの調子で飲んでいるだけであった。まさに暖簾に腕押しである。
『はぁ・・・・。』
提督たちが一斉にと息を吐いた。
「どうだ、卿ら、一つ賭けをせんか?」
ミッターマイヤーが提案した。
「賭け、と言いますと?どのようなものですかな?」
メックリンガーが尋ねた。
「うむ、今ここにいる一同のうち、誰が最も的確にアイゼナッハの指示を伝えられるか、という賭けだ。むろん・・・・。」
提督たちが何か言いかけたのを見て、ミッターマイヤーは、
「実際の戦闘でためしはせんさ。そのような兵の命を軽々しくもてあそぶようなまねは断じてせん。平素の勤務の中、あるいは演習のさなかの中で試す、ということだ。」
「面白そうね!」
ティアナが声を上げた。他の提督たちも面白そうだと言った顔をしたが、
「あの、ティアナ。その、アイゼナッハ提督をダシにするようなまね、してもいいの・・・?」
フィオーナがためらいがちに言うと、意外なことにアイゼナッハは親指を一本立てて見せていた。これは「異議なし」のサインであることは皆が知っている。
「よし、アイゼナッハがそういうのなら、問題なかろう。」
ミッターマイヤーは満足そうにうなずいた。
「俺はグリースら以外、つまり卿らは誰一人として意思伝達に成功できないという方に賭けるぞ。そうだな、全員がたらふくここで飯を食う、その代金をかけるとしよう。」
「ほう。ならば俺はその逆に入れよう。これだけ人数がいるのだ。グリース一人がアイゼナッハの聡明な代弁者というわけではあるまい。」
ロイエンタールが応じる。他の提督たちも皆同様にうなずいている。
「私もだ。はは、そうなると、ミッターマイヤー閣下お一人が、我々の誰一人としてアイゼナッハ提督の意志を伝達できない方におかけになった、ということですな?賭けの率としてはあまりおすすめできない展開ですが。」
と、メックリンガー。
「そういうことだな。だが、卿ら、あまり安易に考えない方がいいぞ。」
その言葉に対して、
「なに!大丈夫ですとも!」
「アイゼナッハの言葉を伝えられないで、何が僚友か!」
「やって見せるとも!なぁに、お茶の子さいさい、すぐに片づけてやるさ!」
「大丈夫よ、平気平気!!」
等という、ミッターマイヤーの挑戦に応ずる高らかな答えが返って来たのである。
「よし、では何人かを卿らが指名してくれ。それが1日交代で副官を務める。もしも、その中で一人でも完璧に伝達できれば、卿らの勝ち、俺の負けだ。それでいいな?」
ミッターマイヤーの言葉に全員がうなずいた。
* * * * *
第一の「副官」は、ルッツだった。堅実な彼ならば、きっとアイゼナッハの指令を余さ
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