遭災弁当
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無言のまま床に倒れ、その端正な顔を引きつらせてアワを吹いていたのである。宇宙一の覇者が破れたのはヤン・ウェンリーの魔術でも彼の後継者の指揮ぶりにでもなく、ただのサンドイッチという俗物にだった。
「医者よ!医者を呼んで!!」
「大丈夫なの!?」
「閣下お気を確かに!!」
イルーナとアレーナ、そしてミュラーはフィオーナのサンドイッチを口に含んだものの、すぐに吐き出したため、難を逃れていた。3人はすぐに従卒や副官、医者たちを呼び寄せて応急救護に入っていたのである。
そんな中フィオーナは一人胸を押さえながらしゃくりあげていた。
「そんな、そんな、そんな・・・!!わ、私そんなつもりじゃ・・・・!!」
日頃の聡明さや冷静さはどこかに吹っ飛んでしまい、あまりのショックに目がくらんだフィオーナの目に一人の男の姿が移った。地獄と化した会議室の中、その男だけが黙々と口を動かしていたのである!
フィオーナの視線と彼の視線が交錯した。彼は何も言わなかったが、ただ右手を胸の前に持ってきてぐっと親指を一つ立てて見せ、微笑して見せたのだった。
こうしてアイゼナッハは「沈黙提督」の異名のほかにもう一つ「鉄壁胃袋」の名前を奉られることになったのであった。
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