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銀河HP伝説
遭災弁当
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どうしたのだ?ミュラーは。」
ケスラーが不審顔をする。その後ろではアレーナとイルーナがどうしたものかとささやきあっていた。
「どうして止めなかったの!?あなたは前世じゃフィオーナの元教官でしょう!?」
アレーナが語気鋭く言う。日頃の飄々さは微塵も感じられない。
「そんなこと言ったって、公衆の面前であの子を傷つける真似はできないわよ。」
いつになくイルーナが小声で言う。
「だったら私たちが犠牲になるしかないっていうの?今この局面でローエングラム陣営中核を消失させてもいいってわけ?」
「そんなことは言ってないわよ!」
「じゃあどうしろっての!?」
「それは――。」
「教官ッ!」
小声で話の輪の中に入ってきたティアナが、
「まずいです!全力でフィオを止めましょう。それか何か理由をつけて作るのをやめさせましょう!フィオの作る料理の恐ろしさを知っているのは、私たちとミュラーだけなんですから!」
「お三方ともいったい何を話されていらっしゃるのですかな?もう外に行かないと、昼食の時間が終わってしまいます。」
ワーレンが声をかけてきた。他の者は入り口付近に立ち止って、何を話しているのだろうと首をかしげている。
「ごめんなさい、すぐにまいりますから。」
イルーナが謝り、3人は結局それ以上話ができないまま昼食に出向くことになったのである。


翌日の会議終了後からさっそく愛妻弁当が食卓に上がることとなった。今日は昼に降りていかず、一同会議室に残っている。従卒たちの手で白いテーブルクロスが敷かれた。
第一陣は、ロイエンタールの妻ティアナの作ったお弁当である。それが各出席者の前に並べられた。
「ほっほう!!」
「ほほっほほほう!!」
「ほほほ〜う!!」
一同が目をぎらつかせんばかりにして快哉を叫んだ。たかがお弁当と侮るなかれと主張するかのように、そこには地球時代に『中華』とかつて呼ばれた料理がずらりと並んでいたのだ。ジャ〜ンとどこかで銅鑼のなるような音がしたように一同には思えた。
「ホイコーロー、麻婆豆腐、チンジャオロース、鳥のから揚げ、それにこれはショウロンポウというやつか!!素晴らしい!!こんな料理を卿は毎日食っているのか!?」
ビッテンフェルトが羨望の眼差しをロイエンタールに浴びせる。
「う、うむ。まぁな。」
ロイエンタールはぎこちなくうなずく。その隣でティアナが必要以上に「食べて食べて」と進め、話題を目の前の料理に戻そうと頑張っている。
「最後はゴマ団子がスイーツであるから!あと杏仁豆腐も用意してあるわよ!」
一口食べたメックリンガーが「ううむ!」と声を発して唸った。
「素晴らしい!小官も様々な料理を食べましたが、これはオーディンの一流レストラン『シュヴァルツ・シルト』にも匹敵する味ですな!」
その隣で、ルッツ
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