758部分:第百十六話 老いていぬ者その一
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第百十六話 老いていぬ者その一
老いていぬ者
「ライブラよ」
「うむ」
キュドイモスは己の玄室にいた。だがそこにいながら遠く離れた五老峰にいてそのうえで童虎と話をしていた。離れていてもその力によってである。
「私の相手はだ」
「わししかおらぬというのじゃな」
「そうだ、先の聖戦より決められていること」
こう言ってであった。
「だからこそ貴様を倒す」
「ふむ。運命は定められているか」
「闘う運命は変わりはしない」
そうでもあるというのである。
「それはだ」
「そうじゃろうな。しかしじゃ」
「しかし、か」
「わしは逃げることはせぬ」
こうキュドイモスに言ってみせたのである。
「決してじゃ」
「その言葉言うと思っていた」
キュドイモスの返答は既に全てをわかっているかの様なものだった。
「やはりな」
「わかっていたか」
「うむ、わかっていた」
こう言ってであった。今また童虎に対して言うのである。
「そう言うことはだ」
「では話が早いな」
「さて、わしはここから動くことはできぬが」
「場所なぞどうということはない」
キュドイモスは目を閉じて言葉を返してみせた。
「それはだ」
「ふむ、では精神世界でか」
「そうだ。そこに参ろう」
「やはりそうなったか」
童虎もわかっていたのだった。全てだ。
「それではじゃ」
「いいのだな」
「どのみち断ることはできまい」
「その選択肢はない」
キュドイモスも応えて述べた。
「どちらにしろだ」
「そうじゃな。ではもう決まっておる」
そこまで聞いた童虎の言葉だ。
「そこに参ろう」
「既に覚悟は決めているか」
「そうじゃな。それを覚悟と言うのならばじゃ」
「そうなるというのだな」
「うむ」
キュドイモスの言葉に対して頷いたのであった。
「そうじゃな」
「貴様とは前の闘いの記憶がある」
「神としてじゃな」
「神、そうだな」
キュドイモスは神という言葉に反応を示した。しかしそれだけではなかった。そこにはもう一つも感情がはっきりと見えていたのである。
そしてキュドイモス自身もだ。それについても言ってみせた。
「私もまた」
「御主も?」
「戦士だ」
こう言うのである。
「アーレス様に仕える戦士だ」
「神であると共にじゃな」
「アーレス様に全てを捧げその御為に戦う」
これは四闘神であっても狂闘士であっても同じであった。それは全く変わりがない。アーレスに対する忠誠は神や人を超えていたのだ。
「その戦士だ」
「左様じゃな。御主は戦士じゃ」
「そしてライブラよ」
己のことを言ってみせたうえでだ。童虎に対しても言ってみせたのである。
「貴様もまた同じ
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