クエスト失敗?
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ている男にはかなり期待していたところがある。
しかし、戦ってみれば結果はイマイチ。確かに渡り合ってきてくれてはいるが、彼の予想よりも上を行くことはできていない。
(いや、それ以上に、こいつと戦っていても高揚感がないんだよな)
その時少年の頭の中に浮かんだのは一人の友人の姿。彼がもっとも気持ちが高ぶったのは、その一人の少年との戦い。しかし、その人物は自分と比べれば実力的に大きく見劣りする。その少年と目の前の敵を比べれば明らかに後者の方が強いはずなのに、なぜか気持ちの高ぶりは前者の方が大きいのだ。
「ハハッ!!」
実に楽しそうに技を仕掛けてくる敵。レオンはそれを回避しながら相手の様子を観察し、自分のモヤモヤの原因にたどり着いていた。
(あぁ、そうか。こいつは自分が一番強いと思っているからつまらないんだ)
恐らく、青年は今まで負けたことなどなく自分が最強であり続けた。だから勝利が当たり前であり、それを奪い取るために無茶をするなどということはなかった。
だが、彼がもっとも激しい戦いを繰り広げた人物はどんな状況であっても勝利を拾おうとする健気な姿を見せていた。その姿に自分も負けられないと思い、より力を発揮することができていたとレオンは考えた。
「・・・よし」
終わらせよう。そんな考えが頭をよぎる。このつまらない戦いに終止符を打ち、とっととクエストを完遂してこの場から去ろうと心に決めたレオンは、辺り一面を覆っていた吹雪を自ら止ませる。
「なんだ?もういいのか?」
「うん。あんたには意味なかったみたいだし。それに・・・」
長髪の男は嗅覚の発達する滅竜魔導士だからか、視界ゼロの状況でも的確な攻撃を仕掛けてきていた。それに、普段からここで活動をしていたのなら、寒さにも耐性ができている。ならばただ魔力を無駄に消耗するのは得策ではないし、他にも大きな理由がある。それは・・・
「あんたなら、どんな状況でも勝てそうだから」
力を手に入れたことにより大きな自信。その揺らぐことのないもの持った彼は、真っ直ぐに敵を見据えそういい放った。
「言ってくれるな。なら、これを受ける覚悟はあるか?」
挑発をされた男は大きく空気を吸い込んでいく。慣れ親しんだその動作を見て、彼は笑みを浮かべる。
「いいよ。跳ね返してあげるから」
彼も大きく頬を膨らませ、体を反らす。二人とも得意な魔法で相手を圧倒したいという思考が丸わかりの行動だった。
(ドラゴンのことはまだ聞いてないが、粉微塵にしてやるか)
(ブレスごとお前を吹き飛ばす)
互いのブレスを打ち消し、敵を滅する。両者の狙いは一緒だった。そして、ほぼ同時に二人の口から魔力が放出された。
「!?」
「・・・」ニッ
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