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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五四話 在るべき場所
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て―――その後ろ盾として彼の背を支えることが貴方になら出来るはず。
むしろ、其方が武家の妻としての責務ではないのかしら。内助を得られない彼の戦いが苦しいことぐらい分かるでしょ?」
確かに、彼女の―――今井智絵の言うとおりだ。
その選択が頭に浮かばなかった訳ではない。そうすることも出来た、だけどしなかった。
「極論を言えば、この計画の現場責任者なんて貴女である必要なんてない。だけど、彼を支えるのは貴女にしかできないことだと思うのだけど。」
「確かに貴方の言う通りだ‥‥本来、私の成すべきことは其方、なのだろうな。」
だけども、今よりももっと先。
未来を見据えて自分たちは一度、別れたのだ――――彼を被験体としてF-35に搭載されるというブレイン・マンマシン・インターフェースの研究が始まるというのなら、それを最大限生かすための機体を作り出すための方法を模索しよう。
―――自分はあの人の妻となり、最強の剣を彼のために作ると決めたのだから。
「そうだ、この軍服を纏っていることもそうだ。此処は本来、私のいる場所ではない。」
国連軍の軍服を纏っていても、己の心は日本にある。そして、あの人を想っている。
それだけは決して、誰にも何物にも否定させはしない。
「だけど、私があの人の隣に立つためには必要な事だ―――少なくともそう、信じている。」
「隣?彼の一歩後ろじゃダメなの?誰かが背中に居て、それを見ていてくれるから意地を張って前に進める―――それが男という生き物よ。
少なくとも彼はそう、わかりやすい位に愚直で一途で意地っ張り―――貴方が背中を支えることをしないのなら、その場所は他の誰かに奪われることになるわよ。」
皮肉った口調での警告ともとれる言葉。
「そうかもしれない、だけど私はあの人が成し遂げたいことの手助けをしたい。
あの人が自分の夢を叶えれるのなら――――それでも構わない。」
たとえ、それで彼からの愛を失ったとしても―――きっと、そうなるのが自然な関係だったのだろう。
大切なのは自分が彼を愛していて、それで彼が生きたいように生るための一助と成れたのならうれしい……それが篁唯依という女の愛し方なのだ。
「――ふふっ、敵わないわね。」
先ほどまでの威圧的な雰囲気を霧散させて智絵がほほ笑む。女の自分をして魅力的で静かな微笑だ。
「あなた達は相手のことを想いながら見返りを求めず……ただただ真っすぐに己の愛を貫く―――眩しいわね。」
「今井少尉‥‥?」
彼女の言葉が心に引っかかる。そこには諦めにも似た憂いの表情を見たからだ。
「それでこそ譜代武家の姫とその伴侶、ということかしら。―――彼を支えるのも私の役目。貴女がいない間は私
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