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歌集「春雪花」
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 年明けの

  雨の降りにし

    夜もすがら

 忘るる時節

     われを嘲り



 雪も少なく、除夜の鐘が良く響く…。

 気付けば年も明け、外を見ればさめざめと雨が降っている。

 本来ならば…この時季には雪が深々と降り積もり、除夜の鐘さえ遠く聞こえるものだが…。

 夜通し降り続く季節外れの雨は、きっと…叶わぬ恋に身を焦がす私を嘲っているのだろう…。



 眺むれば

  日も幽かなる

    冬空の

 想い留めし

     年始めかな



 仕事を終えての帰り道…ふと見上げた空から淡い光が射した。

 薄雲を通して、太陽の光が大地を照らしている…。

 暖かいと言える程ではないが、それでも…少しは気が晴れると思い、暫く空を眺めていた。

 雲は流れ…時折切れ間から青い空が垣間見える…。

 きっと…彼が住む場所は快晴だ。

 そう思い目を閉じて、青々とした空を…彼が見ているであろう空を思い浮かべる…。


 想いを伝えることも出来ず…忘れることも出来ず…ただ、ここへ留めておくしか出来ない…。

 そんな…淋しさと虚しさが迫る、新たな年の始まり…。




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