753部分:第百十五話 星の嵐その一
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第百十五話 星の嵐その一
星の嵐
「全てが決まろうとしている」
「はい」
エリスは己の場にいてだ。そのうえでアーレスの言葉に応えていた。それぞれ離れた場所にいても二人は話すことができるのである。神故にである。
「今まさにですね」
「我が愛する僕達は次々と倒れていっている」
アーレスの言葉は苦いものであった。
「悲しいことだ」
「ですがアーレス様、それは」
「私がいればか」
「はい、我々はアーレス様がおられればです」
エリスが言うのはこのことだった。
「幾度でも立ち上がることができますから」
「私には御前達が必要なのだ」
「我々がですか」
「そうだ、御前達がだ」
こう言うのである。
「必要なのだ」
「そう仰って下さいますか」
「御前達に受けたものを忘れることはない」
温もりが宿っていた。アーレスのその言葉にだ。
「決してだ」
「決してですか」
「孤独に覆われていた。長い間」
アーレスは語る。
「実にな。長い間だ」
「オリンポスの者達は誰もアーレス様を認めようとしませんでした」
「私は生まれてから長い間孤独だった」
ゼウスとヘラとの間に生まれてもだ。それでもだったのだ。彼はその考えが誰にも理解されず受け入れられずだ。孤独に苛まれていたのだ。
「だがエリス、御前達はだ」
「はい」
「私の下に来てくれた」
懐かしむ言葉だった。全てをだ。
「オリンポスの神々の下を去り私のところに集ってくれたな。あの時の喜びを忘れたことはない」
「我等もです」
だがここでエリスも言うのであった。
「アーレス様に受け入れて下さり。何と嬉しかったことか」
「私にか」
「我等もまた孤独でした」
エリスは言った。己がかつて味わったその地獄のことをだ。
「天界では誰からも愛されず、認められず」
「辛かったか」
「誰にも見られないこと」
このことを言うのである。
「それがどれだけ辛いか」
「受けた者、味わった者にしかわからないことだな」
「その通りです。受けなければです」
わからないと。エリスは言うのである。
「オリンポスの者達にわかることではありません」
「あの山にいる者達は誰もが光輝の中にいる」
アーレスの言葉も再び苦渋に満ちたものになっていた。
「だが。我々は」
「そうです、誰一人としてその中にはいませんでした」
「私は長い間光とは無縁だった」
「オリンポスにいながら」
「光の中にあろうと光を浴びてはいなかった」
そうだったというのである。
「見たこともなかった」
「しかしです」
だが、だというのであった。今言ったのはエリスである。
「それが大きく変わったのです」
「私に会ってか」
「アーレス
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