マザーズ・ロザリオ編
絶剣
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じぃちゃん、おはよう」
「今日は何時もより早いのお」
「うん、今日は調子がいいから」
「そうかい、無理はせんようにのお」
「うん、分かってる」
そう言って早めに切り上げると縁側に置いてあったペットボトルに入った水と数錠の錠剤を飲み干した。
「大丈夫なのか?」
「痛み止めを飲んでれば大したことはないよ」
「そうじゃない、わしが言っているのはココのことじゃ」
そう言って宗源はあるところを指差した。その場所を見てシューは大丈夫と言った。
「症状を抑える薬がある。問題ないよ」
「しかし、治せるものなのだろう?」
「まぁね。でも、治す気はないよ。これは戒め、あの世界で多くの人間を殺した自分に対する・・・」
そう言ってシューは水を一気に飲み干し、宗源を一人残して家の中へと戻っていった。
シャワーを浴び、朝食を摂った後は服を着替え出かける準備をしていると後ろから母親に声を掛けられた。
「シュー、今日も行くの?」
「うん、夕飯には戻るから」
「シュー」
「ん、なに母さん?」
「・・・あなた、なんだか最近変わってきたわね」
「変わった?」
母の何気ない一言に反応すると母は普段から見てきた息子の変化を語った。
「えぇ、前みたいによく笑うようになった」
「いつも笑ってる気がするけど?」
「本当の意味で、よ・・・」
母はそう言うと気をつけてねとだけ言って台所へと戻っていった。残されたシューは何気なく頬を触った。まるで表情を確かめるかのように。
「『本当の意味で』か・・・。そういえば・・・」
最後に本気で笑ったのは、いつだっただろうか??????
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
神奈川県横浜市都筑区。緑多き土地に存在する建物、横浜港北総合病院のまだ真新しさが残る大きな看板を一瞥したシューは慣れた足取りで中央の受付に向かった。
「あら皇さん、今日も面会ですか?」
「はい、お願いできますか?」
「只今先生をお呼びしますのでお掛けになってお待ちください」
シューは受付の看護婦にお礼を言うとビニール素材の椅子に深く腰掛けた。大広間の大きなディスプレイに映るニュースを見ていると、足早に近寄ってくる白衣の姿があった。
「やぁ、すまないね。待たせたかな?」
「いえ、いつもすみません倉橋さん」
左胸の辺りに【倉橋】とネームタグを付けた男性医師はトレードマークの縁の太い眼鏡の位置をクイッと直すと、シューと共に関係者のみが立ち入ることのできるエレベーターに乗りある場所を目指していた。
「あなたがい
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