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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十六話 不安
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「……では御願いします」
『おお、そうか。では早速取り掛かるとするかの、ミュッケンベルガーに相談するか』
一瞬だがこの爺様に頼んだ事を後悔した。……大丈夫だ、ユスティーナが抑えてくれる。多分、大丈夫のはずだ……。
帝国暦 489年 1月31日 オーディン 新無憂宮 クラウス・フォン・リヒテンラーデ
結婚式は盛大にやらねばの、陛下のご希望でもある。ユスティーナに最終決定権を持たせるなど、考えたつもりかもしれんが小娘一人言いくるめんで国務尚書が務まると思ったか……。
ミュッケンベルガーとて娘の晴れ姿を豪勢にしてやりたいと思うのは親の情というものじゃろう。ましてあれは養女じゃからの、親は余計に豪勢にしてやりたいと思うじゃろうし、娘は父親の言う事には逆らえまい。
フフフ、甘いのヴァレンシュタイン。卿は肝心なところで甘いのじゃ。これを機にその甘さを叩きなおしてやる。一生に一度の晴れ舞台でそのことをしっかりと学ぶと良い。
先ずは会場じゃの、これはもう決まっておる。黒真珠の間じゃ。地球教などという善からぬ輩がおるからの、民間のホテルなどでは危ない。そう言えばヴァレンシュタインも文句は言えまい。
出席者は軍は大将以上は必須じゃな、政府関係者は各省の長、次官と言ったところか。後はヴァレンシュタインとの親密さで判断するかの。ああ、それと皇族の方々にも出席してもらわなければならんし、辺境星域の貴族達も呼ばねばの。帝国は内乱があったが今は一つに団結しているという事を内外に示さねばならん。
辺境星域の貴族達も呼ばれれば喜ぶであろうし、ヴァレンシュタインが如何に陛下の信任を得ているかという証拠を自らの目で確かめる事になる。改革がおざなりになる事は無いと安心するじゃろう。これはただの結婚式ではない、国家の一大プロジェクトなのじゃ。ヴァレンシュタインには納得してもらわねばの。
式の様子は放送させるとしよう。それも帝国内だけではなくフェザーン、同盟にもじゃ。当然だが放映料は頂く。せいぜい吹っ掛けてやる。なんと言っても主賓は陛下じゃからの。陛下が結婚式で祝辞を述べるなど帝国始まって以来の事じゃ。ヴァレンシュタインは嫌がるじゃろうが、放映料は辺境星域開発の資金に充てると言えば文句は言えまい。そのために参列者を多くしたといえばそれにも文句は言えぬはずじゃ。
楽しいの、どんどん良い案が出てくる。後は衣装と料理、それに式次第じゃが、これは宮内省にやらせよう。連中はこの間の内乱では大失態をしておるからの。此処で挽回せいと言えば必死になるじゃろう。典礼省のように潰されたくはあるまい。
さてと、とりあえずは一度陛下にご報告に行くか。あ奴に仕事を押し付けててんてこ舞いにし、式の準備はこちらで行なうと持ちかける……。真にお見事な策
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