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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十六話 不安
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な、潰すのが遅かったくらいだ。
ルドルフは信頼できる部下に領地を与えその開発を委任した。元々あの金融機関はそんな貴族達が開発資金に困らないようにという理由で作られたものだ。あいつらがちゃんと仕事をしていれば貴族も遊び癖が付かなかっただろうし、辺境星域ももっと開発されていただろう。
『一度内務省と財務省で限られた予算で彼らの要望を実現するとなればどの程度の年月が必要か試算した事がある』
「それで」
『報告書にはざっと百年はかかると書いてあったの。しかも一旦手をつければ辺境星域からの要望はさらに増えるだろうとも書いてあった。報告書の結論は開発は控えるべしじゃ』
思わず溜息が出た。リヒテンラーデ侯は困ったような表情をしている。まあ気持は分からないでもない、戦争中に膨大な予算と時間を喰う辺境開発など、誰が見ても尻込みするだろう。しかもこの戦争には終わりが見えなかった……。
『悪い事にはの、その報告書が彼ら辺境星域の貴族の間に流れた。内務省か財務省かは分からぬが、官僚の中に辺境星域から毎年のように要望書が出てくる事にうんざりしていた人間がいたらしい……』
「それで彼らは政府には辺境星域を開発する意志なし、そう判断したという事ですか」
『まあそういうことじゃの』
「それが十年前……」
『そうじゃ、それ以後は要望書が政府に送られる事は無くなった」
また溜息が出た。爺さん、首を振ってる場合じゃないだろう。言ってみれば帝国は辺境を見捨てたと言って良い。そしてそのことを辺境も理解した。良くまあ、辺境星域で反乱が起きなかったもんだ。起すだけの金が無かったか……。
原作で同盟軍が攻めてきた時に辺境星域が歓迎したのも良く分かる。家族を戦争で同盟に殺された人間もいただろう、あそこまで同盟軍を歓迎するのは何でだろうと思っていたがそういう事か。辺境星域にしてみれば同盟よりも帝国政府のほうが憎かったという事か。
クラインゲルト子爵が残ったのも領民がどうこうよりも政府なんか信じていなかったからだろう。今更政府なんか頼れるかと思ったに違いない。その上焦土作戦だ、リップシュタット戦役で辺境星域が荒れるはずだよ。まったく辺境星域は踏んだり蹴ったりだ。
まあ辺境星域が政府に対して不信感を持つのは分かった。しかし何で俺に来る?
「辺境星域が政府に対して不信感を持つのは理解しました。ですがリヒターやブラッケは改革派として知られています。辺境星域は何故彼らまで拒否するのでしょう。私に要望書を出すより彼らに出したほうが良いでしょうに」
『まあそういうな、改革を言い出したのは卿じゃ。連中にしてみれば他の誰よりも卿の方が信じられるという事じゃろう』
褒め言葉になっていない。逆に言えば、今度は彼らの期待を裏切れないという事じゃないか。全く碌で
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