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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
24話 日常回その1
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す!」

「……だけど絶対に邪魔はしないで。それが条件」

「はい、勿論です」

―――――――――

 簪が使用しているデスクとは少し離れた空いているデスクを鬼一は使っていた。IS学園の整備室は、小さくても2人以上で使えるのが多いので鬼一が調整することになにも問題は無かった。
 一度調整に入ってしまえば鬼一は無言になり簪と会話を交わすこともなく、パソコンに映し出されている鬼神のパラメータを追いかけながらキーを叩く。
 簪も自分の作業があり、簪自身作業しながらお喋りをするタイプではないため必然的に室内は静かなものになる。軽やかなキータッチの音だけが整備室を満たす。両者の目には自分らのISしか映っていない。

「……更識生徒会長とは……仲良いの?」

「たっちゃん先輩とですか?」

 仲が良い、それがどういう意味で言われたのかは分からない。世間一般的には仲が良いと言ってもあながち間違いではないだろう。

「僕の勘違いじゃなければ仲が良いと思います」

「……どんな、人?」

「どんなって……まぁ、本人に言わないなら別にいいですけども」

 付き合いの短い自分よりも妹である簪の方が良く理解しているのでは? と言いたくはなるが、家族からの観点で分からないこともあるかもしれない。他者から見てどんな印象を抱いているのか気になったのかもしれない。鬼一はそう考えて言葉を紡ぐ。
 無論、言葉を飾ることはしない。下手な飾りなど目の前の少女にとって不快感を持たせるだけになるだけだと考えたからだ。

「いたずら好き、マイペース、強引、最強、明るい、気まぐれ、ちじ……開放的な人、意地が悪い、素直じゃない、暇に見えて実は忙しい、秀才、寂しがり屋で、強くて―――弱い人」

 そこまで喋って鬼一は簪の表情を横目で見た。モニターを見ていたはずの簪は呆けた表情で鬼一を見ていた。鬼一は内心思わず驚きを感じてしまう。感情の起伏が少ない少女がこのように感情を見せるのは予想もしなかった。

「きっと、そういう人じゃないですかね」

 鬼一は視線を簪から自身のモニターに戻す。

「多分、あの人は周りから完璧超人とか言われているみたいですけど、間違ってもそんな人種じゃないですね」

「……なんで、あなたはそう思ったの?」

「日常で思ったこともそうですが、実際に本気でやりあってみると、あの人の戦い方は超人と言われる一握りの天才のそれじゃないですね」

 対人ゲームにしろISにしろ、戦い方には為人が出ると鬼一は考えている。むしろ、日常的な部分よりも本質が見え隠れしやすいとさえ考えていた。その持論から更識 楯無は完璧でも、超人でもないと評する。

「そういった奴はもっと独善的で独りよがりなんですけど、あの人のはそういうのと
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