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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
24話 日常回その1
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楯無の妹にして日本の代表候補生。
 IS学園の大多数からすればそんな印象が先に来るだろうが、鬼一にとってそんな看板などさして重要視してない。そんな鬼一から見て彼女は少々屈折した少女、というよりもコンプレックスを抱えた少女という印象だった。

 至って普通の少女。まぁ、ISに関しての能力は他者よりも頭1つ抜けているが。

 それだけではなく、強烈な願望を持っていると鬼一は感じ取っていたがそこまでは流石に読み取れなかった。

「スラスターの調整ですね。やればやるほど奥が深くて……」
 
面白さや楽しさを感じているわけではないが、言葉通り鬼一はISの奥深さを感じていた。研究すればするほど、試行錯誤を繰り返す度に自分が前進していることが分かるため止めることが出来ない。
 実戦に関わる事柄というのもあるが、自分の日々の成長を1つのモチベーションにしている鬼一にとってはここで止めるという選択肢は存在しなかった。良いことでもあったが、自分のスケジュールを今まで以上に圧迫しているので悪いことでもあるのだが。

「しかし、今日は整備室埋まってるんですね」

「……うん、全部上級生が使ってる」

「上級生が、ですか?」

 普段から整備室は上級生の一部が使っていることは知っているが、それでも全部埋まっているというのは始めてだった。普段なら半分埋まるかどうかだというのに。

「……学年別トーナメント。整備課」

「学年別トーナメント……。そういえばもう少しで始まりますね」

 忘れていたわけではなかったが、1日1日、目の前のことに必死になって生きているとどうしても先のことは記憶の彼方に飛ばしてしまう。簪に言われるまで気づかなかった鬼一。

「そういえば整備課はトーナメントに参加するわけじゃありませんでしたね。確か……あぁ、そういうことか」

「……」

 無言で頷く簪。学年別トーナメントの際、学園にある警備以外のISをフル稼働させることになる。それは普段の整備士だけでは手が到底足らない。必然的に整備課の生徒たちも駆り出されることになるのだ。
 無論、そこでの活動は評価対象になる。だからこそ、今慌てて勉強しているのだろう。

 ―――普段から勉強していればこんなバタバタすることもないのに。

 そんなことを考えて、鬼一は顔を青くした。人のことよりも自分のことだ。整備室が使えないと自分にとって笑えない問題になる。

「えーっと、簪さん? もし宜しければで良いのですが、僕も整備室使わせていただけないでしょうか? 邪魔は決してしないので……!」

「……別に構わない」

 この時、鬼一は顔に出さなかったが内心驚きで溢れていた。ダメ元の頼みが受け入れられたのは幸運。

「ホントですか? ありがとうございま
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