24話 日常回その1
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―いや、予想は出来るか」
―――簪さんの為、か。それこそ、喋る必要はないな。それはたっちゃん先輩がいつか言うかもしれないし。いや、言わないか。あの人は。
「……姉さんはなんで……、姉さんを動かしているものって―――」
「それは僕が口にしていいことじゃないですね」
あくまでも第三者に過ぎない自分がそんな大事なことを言うつもりなど毛頭ない。
「……先輩とは話さないんですか? 姉妹、なんですよね?」
―――……この様子だとたっちゃん先輩、まだ喋る機会は設けていなさそうだな。ま、しょうがないか。
「……鬼一は兄とか姉とか、いる?」
「僕に血の繋がった兄弟などはいません。だけど、姉と慕っている人はいます」
「……そう。その姉を超えたいって思ったこととかは? 越えられなくて、辛いと感じたこと、ってない?」
「最高の舞台で倒すことは出来ましたけど、超えたかどうかは分からないです。というか超える超えないとか、そういうことを考えたことはないですね。ですけど辛いと思っていることはあります」
何を持って超えたのかは分からない。たかだか1回倒しただけで超えたと胸を張るのは少々浅慮と言わざるを得ないだろう。そもそも本人が超えたと認めていないのだから。
だからといって、もう2度と全てを賭けた戦いをすることもないのだが。
「最後まで走れなかったこと、最後まで背負うことが出来なかったこと。それが今も辛いです。この世界に来てからはどんどん強くなっていますね」
―――……今も? 違うな。きっと、ずっとこの気持ちは自分の中にあるだろうな。
「まぁ、あんまり人に聞かせるような話でもないですね。もうちょっと景気の良い話でもしましょうよ。具体的には簪さんのこととか良いですね。聞かせてくれません? 好きなものとか、嫌いなものとか」
そうして鬼一と簪の時間は過ぎていく。
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