747部分:第百十三話 氷の奥義その四
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第百十三話 氷の奥義その四
「勝ったな」
「うむ」
彼は相手の言葉に頷いた。
「私が勝った」
「敗れるとは思っていなかった」
相手は仰向けに倒れていた。武具はそのままだがそれでもダメージを受けていた。その為最早立ち上がることはできなかったのである。
「まさかとも思わなかった」
「まさかとも、か」
「そうだ。アクエリアスよ」
カミュに対して言う。倒れているのはレダだった。立っているのはカミュだった。彼は何とか戦場に立ち続けていたのである。ふらつきながらもだ。
「貴様は勝った、私にな」
「絶対零度を出した」
彼はそうしたと言う。
「出したのははじめてだった」
「そうだったのか」
「これまでの戦いでだ。はじめてだった」
「この生の中でか」
「前世のことはわからない」
そこまではわからないという。しかしであった。
「だが。それでもだ」
「今の生で出したのははじめてだというのだな」
「その通りだ。出させたのはベリアル」
彼に対して告げた。
「貴様がはじめてだ」
「そうか」
「そしてだ」
カミュはレダにさらに言う。
「私がここまで命を賭けたのもだ」
「私がはじめてか」
「これまでの生の中では度々あった。だが、先に貴様と闘った時以上にだ」
「全てを賭けたか」
「そうしなければ敗れていたのは私だ」
こうも言ったのだった。
「倒れていたのはな」
「言ってくれるものだな」
レダは倒れたままカミュに応えていた。その顔は満足しているものである。
「そこまでだというのか。私は」
「そうだが。それがどうかしたのか」
「やはり貴様と闘えてよかった」
それを聞いたレダは満足そうに言った。
「この聖戦でな」
「私もだ。貴様とは再びアーレスと闘う時にまたあいまみえるな」
「その時も同じだ」
「やはり我々は闘うか」
「それが運命だ。その運命に導かれこの時代に私達は闘いだ」
「また幾度か生まれ変わった時に」
その時の話も為される。彼は過去も現在も未来も同時に見ているのである。そのうえで二人でその三つの時代の闘いを話しているのだ。
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