第三百九十四話
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第三百九十四話 コンタクトは
春奈は次の日母に何となくコンタクトのことを聞いた、すると母は彼女に対してこんなことを言ってきたのだった。
「お父さんもそうよ」
「あっ、そうだったの」
「ええ、そうよ」
春奈の父、彼女の夫はというのだ。
「昔は眼鏡だったけれどね」
「今はコンタクトなの」
「それに変えたの」
そうしたというのだ。
「実はね」
「それはじめて聞いたけれど」
「あれっ、お話してなかったかしら」
「お兄ちゃんにじゃないかしら」
春奈は母に首を傾げさせて答えた、答えつつ牛乳を飲んでいる。その前には林檎と葡萄、オレンジ等のミックスジュースを飲んでいる。
「そのお話は」
「そうだったかしら」
「本当に私ははじめて聞いたわ」
母にこのことを確かに言った。
「お父さんが昔眼鏡だったなんて」
「そうなのね、けれどそうだったのよ」
「眼鏡から替えたの」
「耳が痛くなるし割りそうになることがあるからって」
「私は割りそうになったことはないけれど」
それでもとだ、蝉玉は言った。
「耳は痛くなるわ」
「そうよね」
「どうしてもね」
眼鏡をかけているとだ。
「そうなるわ」
「だからよね」
「ええ、私も大きくなったらね」
その時はとだ、母に話した。
「眼鏡からコンタクトに替えたいわ」
「じゃあそうしたらいいわ」
「いいのね」
「ええ、春ちゃんの好きにしたらいいわ」
こう春奈に言うのだった。
「それはね」
「別にいいの?」
「コンタクトがどんなものかは知ってるわよね」
「聞いてるわ」
「ならいいわ、よくわかったうえで使うのならね」
「いいのね」
「そうならね」
「じゃあ大人になったら考えるわ」
使う、とはだ。春奈は答えなかった。母の言葉に少し考えようと思ってそうしたのだ。そして牛乳を飲んでまた母に言った。
「それからね」
「ええ、ゆっくりと考えてね」
「そうして決めるわ」
こう言ってだ、春奈はコップを洗ってから自分の部屋に戻った。コンタクトのことはゆっくり考えることにして。
第三百九十四話 完
2016・11・10
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