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我が春も上々の言よ梅の花 〜ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー企画〜
秘めたる想い
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、最後尾の右端を陣取り、俺の崩した姿勢に椅子のカバーは自在に形を変えた。
それに続き、何の迷いもなく千歌が隣へと腰掛ける。

疲れたよぉ、と項垂れる彼女を見て、また脳裏に "あの事" が思い出される。

『君なら...』

「...」

...俺には、夢を叶えてやることなんて。

「どうしたの?」

...俺には、何もできっこない。

こちらを覗き込む素直な瞳に...

「...いや、なんでも。」

...俺自身を抑え込み、無理矢理嘘をついた。

...だが。

「...うそ。絶対何かある。」

「...!」

その瞳はどこまでも素直で、俺が嘘をついていることに対して食らいつき。

「...話して...?」

...俺の醜い "中身" を離そうとはしなかった。

今思えば、彼女の素直な姿に惹かれたのかもしれない。...恋愛感情などではないが。

伝説のスクールアイドル、 μ's に憧れを抱く彼女の目は、どこまでも素直で。
輝きたい。その理由だけで始めたスクールアイドルも。...彼女はいつでも素直だった。

迷惑をかけてしまう。そんな心配は二の次で。
だけど誰も、迷惑だなんて思ってなくて。

これもそれも全て。

"彼女の素直さに惹かれたからこそ" なのかもしれない。

...それ程まで素直な彼女に、虚な自分を演じ続けても...。
虚な自分の中にある、 "本当の俺" を引きずりだそうとするだろう。

...なら、打ち明けてしまおう。




「実は...さ。」









「...俺、お前らのマネージャー...やめようと思うんだ。」

「...え...?」

千歌の瞳が揺れる。何故かは女心の一つも分からない俺でも理解できた。
...悲しいから。

「...どう...して...?」

「...俺さ、ずっと悩んでたんだ。」

崩した姿勢を正し、千歌をじっと見つめる。だがすぐに気恥ずかしさで目を反らす。

「...お前らの役に立ててるのかなって。」

「...そんなの...役に立ってるに決まってるじゃん!!」

声を荒げた千歌が勢いよく立ち上がる...が。

「きゃっ!?」

まるでバスが千歌を振り落とそうとしているかのように、バスは急カーブへと差し掛かる。

「っ!!」

咄嗟に手が出る。その手はラッキースケベ方面へ向く...ことはなく。

「よっと...」

「...ふぇ...?」

彼女の背中へと、回された。

「大丈夫か?」

「...あ...ありがと...」

心なしか頬が赤い彼女を椅子へそっと座らせ、俺も腰掛ける。

...数秒の沈黙の後、もう一度
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