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我が春も上々の言よ梅の花 〜ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー企画〜
秘めたる想い
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て...。
中身を掴み、勢い良く取り出す。

その段ボールの中身は...。

『手袋!?』

「イエス!」

予想だにしなかったプレゼントに9人は嬉々の表情を浮かべ、こちらに駆け寄ってくる。
まさに手袋を餌と見違えた犬のように。

そしてその餌を取るやいなや、袋を神速で破り捨て、手袋を装着。すると9人とも同じ反応を俺に見せる。
"あったか〜い" 、と。

...そう。こんなこいつらの "願い" を、俺は何回も叶えてきた。
寒い、と言われれば手袋。暑い、と言われればスポーツドリンク。...一回無理して、屋上まで扇風機を引っ張ってきた事もあったっけか。

こんな密かな、小さな "願い" を叶えるのが俺の役目。...それ以上の事など、無理なのだ。




「...君なら、ラブライブへの出場も叶えてくれそうっ!」

「...千歌...」

...ましてや。




...こいつらの "夢" を叶える事など。


「...?」









練習終わり、暗い歩道でバスを待っている。
メンバーは全員女の子、遅くまで活動させるわけにはいかないのでさっさと解散させた。
そして俺だけで進めていた後片付けが終わり、今は滅多に来ないバスを待っている...。

街灯から漏れる白い光をじっと見つめ、ため息を一つ。...そして。

「...なんて...無力なんだろうな...」

...愚痴とも取れる呟きを一つ。

俺はあいつらの夢を叶えてやりたい。その気持ちに嘘はない。
だがいつも、ダウナーになってしまう。

"俺があいつらの夢を叶えてやることは、出来ない" と。

そんなの当たり前だ、分かっている。
だがいつも、そう思ってしまうのだ。

所詮はただの助っ人、いわばマネージャーのようなもの。
そして、こういう結論に至る。

"俺はあいつらの役に立てているのか" と。
"もし役に立っていなければ、いる必要なんてない" と。

「まぁ...悩んでてもしょうがないか...」

遠くに見えるヘッドライトを合図に、湧き出ていたネガティヴな考えを振り切る。

やがて目の前でバスが扉を開き、重い足取りと共に乗車しようとしたその時。

「待ってーーー!!!乗ります乗りまーす!!!」

その場で振り返ってみると、1人の少女が焦りと共に走ってきた。

その少女は...

「...千歌?」

「はぁ...はぁ...あれ?」

Aqoursのリーダー、高海千歌だった。




バスはいつも誰を運んでいるのか...というほどにはガラガラなので毎日、座席に座ることが出来る。
それは今日も例外ではなかったので、俺がいつも座っている席
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