マスター現る!
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る。
事実痛いのだろう。震えながらマカロフは手すりにのぼり、その上から左手に持った書類を軽く振る。
「まーたやってくれたのう、貴様等。見よ、評議会から贈られてきたこの文書の束を」
それを聞いたニアが、こそっと囁く。
「評議会って?」
「魔導士ギルドを束ねてる機関よ。知らない?」
「どうでもいい事は覚えない主義でな」
確かに、一か所に留まる気はないと言い切るニアに魔導士ギルド云々の話はどうでもいいだろう。それが束ねている機関に関する事なら、余計に。
改めて書類に目をやったマカロフが、一番上にあったそれを読み上げる。
「まずは…グレイ」
「あ?」
「密輸組織を検挙したまではいいが……その後街を素っ裸でふらつき、挙句の果てに干してある下着を盗んで逃走」
「いや……だって裸じゃマズいだろ」
「まずは裸になるなよ」
「何だ、そのくらいの常識はあったのか。結構結構」
「何かこの新入り、オレに対して酷くねえ!?」
数回頷くニアにツッコミを入れるが、返って来たのは「オレは新入りじゃない、護衛だ」という返事なんだか何なんだか解らないものだった。因みに本人はきちんと返答していると思っている。
「エルフマン!!貴様は要人護衛の任務中に要人に暴行」
「『男は学歴よ』なんて言うから、つい……」
つい、じゃない。ニアが密かに呟く。
学ランの男―――エルフマンが、気まずそうな顔で頬を掻いた。
「カナ・アルベローナ。経費と偽って某酒場で飲む事大樽十五個。しかも請求先が評議会」
「バレたか……」
今度はタロットカードを構えていた女性だった。
当たり前だ。溜息を吐きつつ内心でツッコミを入れる。
「ロキ……評議員レイジ老師の孫娘に手を出す。某タレント事務所からも損害賠償の請求が来ておる」
「ロクデナシめ」
うっかり声に出てしまった。自分が思っていたより声は小さかったらしく、書類をめくる音に紛れたのが幸いだっただろう。ニアとて、恋する女性二人を敵に回す気はない。女性を怒らせると怖いのは、長年の経験から解っているのだ。
「そして、ナツ……」
がくり、とマカロフが大袈裟なほど肩を落とす。
「デボン盗賊一家壊滅するも民家七軒も壊滅、チューリィ村の歴史ある時計台倒壊、フリージアの教会全焼、ルピナス城一部損壊、ナズナ渓谷観測所崩壊により機能停止。ハルジオンの港半壊…については、目撃者曰くもう一人誰かいたらしいが……」
ぴくり、と隣の奴の肩が跳ねる。
「……本で読んだ記事はほとんどナツだったのね…てか、もう一人って」
「いやあ、誰の事だろうな」
白々しく言い、顔を背ける。目撃されたのは多分彼ではなく彼が呼んだランスロットの方だと思うのだが、結局呼んでいるのはニアなので悪事
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