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エターナルユースの妖精王
マスター現る!
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た左手に握り拳を乗せる。淡い水色の光を放つ両手から、冷気が溢れていく。

「ぬおおおおおおっ!!!!」

雄叫びが響く。学ランの袖が破け、右腕が変形する。

「困った奴等だ…」

ロキが右人差し指に指輪をはめた。澄んだ音を立てて発せられる光は明らかに魔力を帯びている。

「かかって来いっ!!!!」

事の発端たるナツが、変わらない様子で叫ぶ。上に突き出した両手に竜をも殺すとされる炎を纏い、即座に戦闘態勢を取る。
揃いも揃って魔法使用体勢、魔法を使い出せばただの喧嘩では収まらない。これだけの魔法が一度に激突すれば、下手をすればギルドの建物が吹き飛んでしまうのでは……。

「魔法!!!?」
「これはちょっとマズいわね」
「魔法って、え、ニア……!!」

大きく目を見開いたルーシィは、間を置かずに連れに目をやる。ギルドに属していないから半人前扱いを喰らう事もあるニアだが、魔導士としての腕は本物だ。使っているところを見るまで聞いた事もなかった召喚系魔法を操る彼なら、この状況を何とか出来るかもしれない。それでは結局魔法頼りでよろしくないのかもしれないが、魔法に対抗出来るのは魔法だけなのである。
ようやくスイッチがオフになって来たらしいニアは、ルーシィが何を言いたいのは解っているらしい。それでも驚いたようにぱちりと瞬きをして、首を傾げた。

「いいのか?」
「止めなきゃ大惨事でしょ!!で、でもやりすぎはダメだからね。こう、出来るだけ穏便に済ませられる人で……」
「穏便って…アイツ等に一番縁遠い言葉だぞ、それ……まあ、何とかしてみるけどな。期待はするなよ、具体的には、そうだな…柱の一本くらいは大目に見てくれ。死人は出さないようにする」

言うが早いが、音もなくその手に本を持ったニアが、あの時と同じ冷たい目で彼等の方を向く。その唇が、詠唱を紡ぐべくゆっくりと動き出す。

「―――――“平和であれと、君は―――」




「そこまでじゃ」

ズシィ、と重い音がした、と思った時だった。

「やめんか、バカタレ!!!!」



突如、視界が陰る。大きく響いた声は頭上から聞こえて、ニアの詠唱を遮った。
声につられるようにルーシィが顔を上げ、詠唱を止められたニアが苛ついたように目線を上げ――――二人揃って、大きく目を見開く。

「でか――――――っ!!!!」
「はあ!!?」

そこにいたのは、巨人。
頭がギリギリ天井に触れるか触れないかの身長、巨躯を支える太い脚、怒りを堪えるように強く握りしめられた拳。どんな顔をしているのかが逆光で解らないが、怒っているのは声色から判断出来た。
その巨人が現れた瞬間、ギルド中の動きが止まる。カードを構えたまま止まり、グレイと学ランは睨み合ったまま停止、今
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