マスター現る!
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ららら…」としか言いようがない。ニアの方も、口では納得したように言いながらも、表情が明らかに呆れを浮かべている。
「それに……」
ミラが何か言いかけた、瞬間鈍い音が響く。ガン、と派手に音を立てた原因―――飛んで来た酒瓶が、ミラの頭に直撃する。
「キャ―――!!!ミラジェーンさんっ!!!」
「おっ…と」
ぶつかり床に落ちていく瓶を、落ちる寸前にニアが受け止めた。右手に乗る重さに僅かに眉を顰め、割れたとしても破片が飛んでこないであろう、壊れたテーブルの陰にそっと置く。
その横で、ぱたっと倒れたミラに、ルーシィが慌てたように呼び掛ける。
「それに…」
が、流石にこの乱闘を「いつもの事」と笑って言い切るだけの事はある。すぐにむくりと身を起こし、にっこりと笑って続けた。
「楽しいでしょ?」
(怖いですぅ―――――!!!!)
ただし、瓶が当たった箇所からは、だらーっと血が流れているが。
こんな状態でも笑ってそんな事を言ってのける姿にルーシィは内心絶叫し、ぎょっと目を見開いたニアが慌てた様子で鞄を漁り出した。ハンカチでも探しているのだろう。だが奥にしまっているのか、そもそも持っていないのかなかなか出て来ない。
「おふっ」
「きゃーっ!!!」
「何だ!?」
と、突如すぐ近くに何かが―――いや、誰かが飛んで来た。元々はテーブルだったであろう破片が宙を舞い、ルーシィの悲鳴で鞄から顔を上げたニアが即座にその手に鎌を握りしめる。そこから間を置かずに手にした得物を振り回し、落ちてくる破片を切断しては落下地点を逸らしていく。いいのか悪いのか、この喧しい状況では鎌を振り回すニアに注目は集まらない。
凄い勢いで飛んで来たその人に目を向ける。黒い髪に何も着ていない裸体、先程パンツ一丁を指摘されていたグレイだった。
……と、ここで妙な事が一つ。今視界にいるのは、文字通り何も着ていないグレイ。だが彼は喧嘩に混ざった際は指摘された通りパンツは穿いていたはず。
嫌な予感がして、目の動きだけでナツを見る。「へっへーん」と意地悪そうに笑ったナツが右手に持ったそれ、ひらりと揺れるそれを見て、ニアは唖然とし、即座に気づく。あれをナツが持っているという事は、そして今その持ち主たるグレイは―――
「あー―――っ!!!オレのパンツ!!!」
「こっち向くなー!!!」
ここでようやく自分の格好(というか全裸)に気づいたらしいグレイが叫び、運の悪い事にそんな彼の丁度向かいにいたルーシィが慌てて目を右手で覆う。
つまり彼女は真正面から見てしまった訳で、この状況に気づきながらも少し遅かったニアが振り返り、ぎりっと歯を噛みしめる。周囲が騒がしくなければはっきり聞こえていたであろう程、強く。更に眉を吊り上げ、明らかに怒りの形相で勢いよ
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