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エターナルユースの妖精王
マスター現る!
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…まともな人が一人もいないじゃ……」

破壊音や飛び交う声に、そんな小さな呟きは飲まれていく。このギルドに憧れているのは事実、入りたいと思う気持ちも変わらない。けれど、それにしたって呆れはするもので。伏したままのルーシィに合わせるようにしゃがみ込んだニアの、「落ち込むな、元気出せ」と言いたげな目が優しかった。というか合わせてしゃがんでくれた事自体が彼にしては優しい行動だった。因みに目が語っているだけで実際には何も言っていない。思ったとしても照れくさいから言わない、それがニア・ベルゼビュートという青年である。いわゆるツンデレだ。クーデレでも可。

「あらぁ?新人さん?」

と、そんな二人に声がかかる。柔らかなソプラノだった。この喧騒の中でも不思議と耳に入ってくる、そんな声。
穏やかな声にルーシィが大きく目を見開いて、ニアが気怠げに目線を上げる。

「!!!!ミ……ミラジェーン!!!!キャー!!!本物〜!!」
「?……ああ、雑誌の」

反応は対照的だった。一瞬で身を起こしテンションの上がったルーシィに対し、記憶を漁って漁ってハルジオンで連れが見ていた雑誌を思い出して、ニアは淡白に呟く。序でに、この女性は確実に自分より年下であると本人を見て確信した。写真では年齢がいまいち計れない。
にこやかな笑顔で、二人の前にしゃがむ女性。この状況に押し潰され隠れそうになっていた二人を見つけてくれたミラに、ニアが目で礼をしてから尋ねる。

「コイツは新入り、オレはその連れで加入する気はない。…いや、そんな事はどうでもいいか。一つ聞いてもいいか?」
「ええ、何かしら?」
「…この騒ぎ、止める必要は?力づくでもよければ何とかなるが」

ニアの言葉で、はっと正気に返る。現在進行形で乱闘は続いている、しかも規模を大きくしながら。テーブルを持ち上げたナツの蹴りが決まり、かと思えば壊れた椅子を持ったグレイが暴れ、更にロキの拳に殴られる。物は壊れるわ破片が飛び散るわ、酒の入った瓶は中身を宙に撒き散らしながら落ちて割れていく。もう何が何だか、どこが中心でどこが端かも解らない。
力づくでも、との言葉に嫌な予感がして彼に目を向ける。その右手には、ここに来るまでに何度か見た、覚えのある本が一冊。あの船の中で、どこか作り物じみた何かを感じさせる騎士を召喚した、それ。
彼がそれを出してきた意味―――止めろと言われれば何人召喚してだって止めてみせるという意思表示に気づいたルーシィは顔を青くして、彼についても、抱える本についても知らないミラは変わらず微笑んだ。

「いつもの事だからぁ♪放っておけばいいのよ」
「……そうか」

すっ、と本が消える。鞄にしまったとかではなく、空気に溶けるように消えていく。何とか事態を回避出来た事にほっとしつつ、ミラの言葉には「あ
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