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エターナルユースの妖精王
マスター現る!
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、こうやって申し出てくれているのなら縋りたかった。一週間も父親が帰って来なくて、寂しくて、不安で、怖くて、早く帰って来てほしくて、一日でも早くおかえりと言いたくて、早く会いたくて――――。

「……お願い。父ちゃんを、探してほしいんだ」
「了解。ハコベ山だったな?それなら然程時間もかからな…」
「ナツ兄と新入りの姉ちゃんがさっき馬車で行くって言ってたから、多分まだ間に合うよ!」
「……ん?」

何かが凄く引っかかります、とでも言うように顔を顰め、青年が問う。

「新入りの、姉ちゃん?」
「うん、金髪の。さっきナツ兄を追って、ナツ兄と馬車に乗ってハコベ山まで行って、父ちゃんの事探してくれるって。今から追いかければ、まだ近くに馬車が……」
「……その新入りの名前、解るか?」
「え?…ルーシィって、呼ばれてたけど」

そうロメオが言った瞬間、青年が頭を抱えた。文字通り、フード越しに髪をぐしゃぐしゃと掻き乱して。はあ、と大きく溜息を吐いた彼は「そうか」と呟き、立ち上がる。

「どうせ詳細を聞いてないんだろう……まあいい。それじゃあ、行ってくる」
「あ、待って!」

その場で軽く膝を曲げた青年を呼び止める。まだ肝心な事を聞いていなかった。

「兄ちゃん、名前…なんて言うの?オレはロメオ、ロメオ・コンボルト!」
「…ああ、そういえば名乗ってなかったか」

言われてようやく気が付いたのか、青年は一つ頷く。

「ニア・ベルゼビュート。ニアで構わない」







「でね!!あたし、今度ミラさんの家に遊びに行く事になったの〜♪」
「下着とか盗んじゃダメだよ」
「盗むかー!!」

カタカタと、心地よい振動が伝わる。ハコベ山へと向かう馬車の中、坂道を行く車内でくわっと大きく口を開けルーシィがハッピーにツッコんだ。

「「てか、何でルーシィがいるんだ?」」
「何よ、何か文句あるの?」
「そりゃあもういろいろと…あい」

片や苦しそうな呼吸をしながら、片や心底不思議そうに問われる。向かいの席に寝そべるナツとその近くの壁に背中を預けるハッピーに顔を向け聞けば、まともに喋れない相棒に代わってハッピーが何かを言いたげに呟く。

「だって、せっかくだから何か妖精の尻尾(フェアリーテイル)の役に立つ事したいなあ〜、なんて」
(株を上げたいんだ!!絶対そうだ!!)

どうやら魂胆はバレバレのようだった。
実際ルーシィが何を思ってついて来たのかは本人と、昔馴染みで彼女の事を知り尽くしているであろうニアくらいなので、本当のところは解らないが。

「それにしてもアンタ、本当に乗り物ダメなのね。何か……いろいろ可哀想…」
「は?」

うる、と目を潤ませるルーシィにどうにか反応するナツ。馬車が
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