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エターナルユースの妖精王
マスター現る!
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ていたグラスに氷が足されていく。一つずつ、水面を揺らしながら追加される氷の立てる軽やかな音で、ふっと現実に引き戻されたような気がした。

「みんな…みんな、何かを抱えてる……」

切ない声だった。

「傷や…痛みや…苦しみや…」

俯いていて表情は解らないが、悲しそうな、辛そうな声色だった。

「私も…」
「え?」
「ううん、何でもない」

僅かに聞こえた言葉を聞き返すと、返って来たのは変わらない穏やかな微笑み。
けれどそれがルーシィの目には、どこか寂しそうな、無理矢理笑っているような、そんな風に見えた。






「どうした、こんな時間に子供が一人で出歩くのは危ないぞ」

涙を拭いながら夜道を歩くロメオは、一瞬どこから声をかけられたのか解らなかった。俯いていて辺りをよく見ていなかったというのも理由だが、その声の主がどこを見ても見当たらないのだ。まず前を見て、左右を見回し、振り返るが誰もいない事を確認し、また前を―――

「うわあっ!!?」
「ん、驚かせたか?悪いな」

見たら、いた。先ほどまでいなかったはずの、ロメオより背の高い男の人。咄嗟に飛び出た悲鳴にぴくりと眉を上げ、謝罪しながらロメオと目線を合わせようとしゃがみ込む。
知らない人、ではない。けれど、知っているというほどでもない。父親を探してほしいとギルドに頼みに行った時に、ギルドから出てくるのを見た、という程度だ。綺麗な水色の目が真っ直ぐにこちらを見つめ、首を傾げる。さら、と髪が揺れた。

「親は?心配するぞ」
「……」

答えられなかった。
それを目の前の青年がどう受け取ったのかは解らない。だが、彼は変わらない声色で問う。

()()()()()()()()
「…え?」

それは、明らかに知っている人がする問いかけだった。驚いて目を見開いたロメオに、青年は言う。

「さっき、ギルドから出ていく時にお前を見た。あそこは、扉が開きっぱなしだからな。少し聞き耳を立てて、しかも対象の声が大きければ十分聞こえる。…こんな時間に魔導士でもない子供が魔導士ギルドに用なんて、緊急の依頼か身内かくらいだろうと思って……まあ、気になったから聞いた」

しれっと言ってのける青年。ぽかんとするロメオにもう一度、今度は反対側に首を傾げて。

「オレでよければ探しに行くが、どうする?…どうせギルド側は自尊心がどうとか何とか言って誰も行かないだろうし、ここは部外者の方が動きやすい。これでも一応魔導士だからな、何とか出来ると思うが」
「…父ちゃんの事、探しに行ってくれるの?」
「お前がオレに頼むというなら、その頼み通りに」

正直、この青年を信じてもいいのかは解らない。けれど
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